検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:92,360 hit

六十四話「泣いているんだかそうでないのか」 ページ16

「国木田くーん。ぼくそろそろ”名探偵„の仕事に行かないと」









ふらりと現れたのは探偵チックな格好をした青年。
彼の名前は江戸川乱歩、探偵社員である。









「名探偵?ああ、例の殺人事件の応援ですか」









国木田が手帳の頁をめくる手を止める。
どうやら乱歩は此れから仕事にいくようだ。









「そう。警察がね、世界最高の能力を持つこの名探偵、乱歩さんの助言が欲しいって泣きついてきてさ」









悪戯小僧のような笑みを浮かべ、机の上に立つ。
言動がいちいち子供っぽいが、此れでも探偵社員なのだ。









「こいつらに手伝わせます」









国木田が敦とAに指をさす。
敦は早すぎる展開に頭がついていかず、ポカンとしたままだった。
一方Aは襲撃された探偵社の片付けを手伝っていた。
その途中に黒服たちが落とした拳銃を拾って、不思議そうな目で其れを見つめていた。









「(この拳銃は使えるのかな…………これを新しい護身用グッズに…!)」









でも大きすぎるか、と察し拳銃を外に棄てた。
また一方で敦はまだポカンとしたままだった。
開いた口が塞がらないとはこの事だろう。
そんな敦に国木田が話しかける。









「おい、呆けてないで準備しろ、仕事は山積みだ。
…太宰も探して連れていけ。どうせその辺の川を流れてる」









ポンッと敦の肩に手をのせる。
出ていった理由を特に追求されることなく、何時も通りに接される。
安心感が敦を包んだ。
出ていく必要なんてない。
僕は此処にいてもいいんだ。









「は、はは………」









目頭が熱くなる。
泣いているのか、笑っているのか、敦には判らなかった。
ただ嬉しかった。
曖昧な感情のなかで、それだけが確かにわかった。









「お兄ちゃーん、早く準備しないと……ってお兄ちゃん泣いてるの?」

「……泣いてない」

「泣いてなくないの?」

「泣いてない」

「泣いてるの?」

「泣いてるよ!!」









探偵社に敦の元気な声が響いた。

六十五話「Murder on D Street」→←六十三話「非日常的な日常」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (66 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。