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六十二話「ごめんなさい」 ページ14

本当は怖かった。
お兄ちゃんが私に嫌気を指したから家出したんじゃないかって。
まあ、お兄ちゃんのことだから、探偵社に迷惑を掛けないために〜みたいな理由なのだろう。
そうだと信じて、考えないようにしていたけど、やっぱりダメだった。









「……ッ」








あの事件のことも、自分の異能力についても………お兄ちゃんに話すことができなかった。
話したら、それこそお兄ちゃんに嫌われてしまいそうで怖かったから。
__お兄ちゃんが戻ってきたとき、最初に出た言葉は俗に云う『お説教』だった。









「お兄ちゃん何処行ってたの!探したんだよ!
どうせお兄ちゃんのことだから探偵社に迷惑を掛けないために家出したんだろうけどさ!」

「うっ……」

「まったく、何年一緒だと思ってるの?」

「十四年」

「そうだけど!たしかにそうだけども!
お兄ちゃんはホント考え込みすぎなんだって」









どうやらお兄ちゃんは図星だったようで、私のせいではなかったんだと安堵した。









「そ、そう云えばこの人たちは?」

「ああ此れ?なんかこいつらが『黒蜥蜴』みたいだよ、先刻の爆発事件の犯人。
意外と弱っちかったし、怯えることはないよ」

「え、Aこいつら倒したの?」

「うん、素手で」

「素手ェ!?」









よかった、私を嫌っていなくて。
他愛のない会話で、溢れそうな感情をどうにか誤魔化そうとする。
でもダメだった。
どうしても云いたかった。
たとえお兄ちゃんが私を嫌っていなかったとしても。
『その言葉』はポツリと消え入りそうな声で、スッとこぼれてきた。









「ごめんなさい」








俯いたまま、顔をあげることは出来なかった。







「どうして謝るの?」









お兄ちゃんが聞いてきた。
その時、私の中の何かが、音を立てて崩れていった。









「お兄ちゃん、私のことが厭になったんじゃないかって」

「そんなわけ__」

「あの事件のことも私の異能力のことも、全然話せていなかった。
昨日、マフィアに云われたとき、お兄ちゃんはどんな気持ちだったんだろうって…怖かったの」









今まで堪えていたダムのようなものが壊れる。
自分の弱さが口から口から止めどなく溢れる。
涙に堪えるのも必死だった。
昨日の今日だから、気持ちが不安定になったのだろう。
俯いたままだったから、お兄ちゃんの表情をうかがうことは出来なかった。

六十三話「非日常的な日常」→←六一話「妹からのお説教」



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作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時

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