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二十六話「お金への執着」 ページ27

「無駄だ小僧、小娘。
武装探偵社の七不思議の一つなのだ、こいつの前職は」






国木田さんが説明してくれた。
七不思議になるほど。何か納得できる。
だって本当にわからないから。






「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ」


「そうなんだよね。誰も中てられなくて賞金が膨れ上がってる」





太宰さんが他人事のようにさらっと云うと、
珈琲の中をスプーンでくるくると回した。
七不思議になるくらいだ。
相当珍しい仕事なのかもしれない。








「俺は溢者の類だと思うが、こいつは違うと云う。
しかしこんな奴がまともな勤め人だった筈がない」


「……どうしよう、無職しか思い浮かばない」


「Aちゃん!それはそれで酷い!」






太宰さんがまともに仕事するシーンが思い浮かばない。







「因みに賞金は如何ほど?」


「参加するかい?賞典は今……」







頭を必死にひねってもわからない。
何かお兄ちゃんと太宰さんが話しているけど、
太宰さんの前職を考えるのに必死で何を話しているかは判らなかった。
う〜んう〜ん、と呻き声を出すが、ただの時間の無駄だった。







「七十万だ」






ガタッ!






「うわっ!?お兄ちゃんどうしたの!?」






お兄ちゃんが急に目をギラッとさせて立ち上がる。
え?え?とあたふたしてしまうが、お兄ちゃんの目を見るに、お金関係の話だとすぐわかった。
どうやら太宰さんの前職を中てたら七十万が手にはいるらしい。





「中てたら貰える?本当に?」


「ジサツ主義者に二言はないよ」




お兄ちゃんと太宰さんの間にバチバチと火花が散っているように見えた。
お兄ちゃん、お金のことには敏感だからな。
もう敏感を通り越して執着しているようにも見えるけど。





「勤め人」


「違う」


「研究職」


「違う」


「工場労働者」


「違う」


「作家」


「違う」


「役者」


「違うけど……役者は照れるね」






身をくねらせ、わざとらしくに照れる仕草をする。
お兄ちゃんに関しては完全にあてずっぽである。
少しは考えないと……っていうか







「太宰さんが役者してたら、そこの事務所が潰れるよ」


「あ、確かに」


「納得しないで!?」

二十七話「頭脳と謎と賞金と」→←二十五話「前職探し」



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作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

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