三十八話【本能】 ページ10
次々と現れるゾンビに全員がパニックに陥った。
逃げる者もいればゾンビと戦う者もいた。
Aは太股のホルスターから拳銃を引き抜き、銃口をゾンビに向けた。
その時だった。Aを正体不明の頭痛が襲った。
「うっ……ぁ……」
銃を握る感覚に既視感がある。
銃弾の音、爆発の音が遠くで聞こえている感覚だ。
この記憶は……
「何ボケッとしてンだ、行くぞ！」
誰かがAの手首を掴んで引っ張った。
ーーーー
ーー
三階ほどの建物の最上階に逃げた。
一息ついて、握っていた自動拳銃をホルスターに仕舞った。
銃から手を離すと、先程の頭痛やモヤモヤしたものがスッと消えた。
「もう大丈夫だ」
そう云った彼はその場にあったソファに腰を掛ける。
「助けてくださり有り難う御座います＿＿中原さん」
「どうッてことねえよ」
Aは助けてくれた人物、中原中也に礼をした。
そして沈黙。
外から聞こえる銃声や爆発音がさらに厳しくなる。
暫くして、中也はソファから立ち上がった。
「じゃあ、俺は全線に戻る。手前は其処に居ろ。
一般人にはあの戦場は無理だ」
Aは自分の無力さに絶望した。
下を向いて、指先が白くなるほど拳を握った。
中也とてAをただの一般人とは思っていない。
彼女が有名な殺人鬼だと云うことぐらい知っていた。
裏社会では有名な人物だったからだ。
確信を持ったのは今朝だ。
『Aちゃんは殺人鬼だ。記憶を意図的に消されている。
いつどんなタイミングで記憶を戻すか判らない』
太宰が今朝珍しく真剣な表情で云った。
彼奴が真剣な表情で云うくらいだから、悔しいが真実なのだろうと思った。
「大人しくしてろよ」
中也がドアノブに手をかけた。
その時だった。
「なッ……！」
開いたドアの向こうにゾンビがいた。
銃声で足音に気付かなかった。
直ぐ様戦闘準備に入る。
「重力操＿＿！」
バンッ
一つの銃声が中也の声を遮った。
撃ったのは勿論Aだ。
あの一瞬でホルスターから自動拳銃を取りだし、
ゾンビの眉間を正確に撃ち抜いたのだ。
あの正確な射撃は偶然などではない。
殺人鬼として染み付いた技が記憶を失ってもなお、自衛本能として働いたのだ。
「手前……」
「中原さん、私行けます」
覚悟を決めた瞳は中也を突き刺すほど美しかった。
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+アリス+(プロフ) - ★dayaka★さん» コメントありがとうございます。最近更新できなくてすみません。少しずつでも更新を再開していくので、楽しみにしていてください。 (2019年10月18日 20時) (
レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
★dayaka★(プロフ) - 面白いです。続きが楽しみです！更新頑張ってください (2019年10月14日 14時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます。これからも更新頑張りますので、続きを楽しみにしていてください。 (2019年7月28日 23時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2019年7月28日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 酸素無駄遣い装置さん» ありがとうございます。これからも更新頑張ります。続きを楽しみにしていてください。 (2019年7月26日 15時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+アリス+ | 作成日時：2019年7月21日 16時
