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十八話【少女】 ページ19

「私達が居る場所は此処。
太宰さん達は恐らくこの壁の向こうにいる」






Aが地図を指差し説明する。







「他の場所もいくつか道の形状が変わっていた。
あの人達は別方向になるけど、ゴールできる道はある」


「ならこう行くしかない」







鏡花が地図をなぞり道を示す。
Aは支給されていたペンを取り出したが、
蓋を開けるところでその手を止めた。







「(また道が変わる可能性がある)」








ペンで道をなぞるのは止めておこうとAはペンを仕舞った。
短い髪を揺らし前を向く。
澄んだ瞳が前を見据えていた。









「取り合えず今は進みましょう。太宰さんたちとはいずれ合流できます」








ーーーーーーーー

ーーーー








A達が皆とはぐれて三十分が経過した。
何せ迷路が大きく長い。
複雑に要り組むわ一本道が長いわで少々手間取る。







「休憩しましょうか」







ゲーム開始から一時間が経過。
頭も肉体にも疲れが溜まり、二人は壁を背に座り込んだ。
Aとて体力が無いわけではない。
見た限り人並み以上に走れるし力もある。
だが今回は精神的な疲れがおおきく、それは肉体にまで及んできた。








「貴女は本当に記憶がないの?」







上をぼんやりと見上げるAに鏡花が話しかけた。
思えば鏡花とは推理交換をするばかりで雑談などしなかった。
お互いの交流を深めるためにも、答えておく方が良いかもしれない。








「無いですよ、全く」


「そう……」


「でも経済的なニュースは覚えていますよ。
例えば最近なら……何処かの海に白い鯨が落ちてきたとか」


「……!」








鏡花は目を見開いた。
それは先日、武装探偵社が総力をかけて解決した組合(ギルド)との戦いであったからだ。








「でも、それが何処で起きて誰が主犯なのかもよく判りません。
ぼんやりとだけ覚えているんですよ」







困ったものですね、とAは苦笑した。
沈黙が流れ、二人は何も喋らなくなった。
だがしかし、その沈黙を破る声が二人に届く。






「おーい!Aちゃーん!鏡花ちゃーん!」






声の主は__






「太宰さん……!」






声の主は太宰であった。

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+アリス+(プロフ) - 怪盗MOONさん» ふふふ、どうでしょうか……。此れからのお楽しみです。 (2019年7月21日 12時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - なるほど。道化師は異能力者で、此のデスゲーム、・・・日い、“脱落者ニハ死ヲ与ウル”は道化師の異能と云う事か・・・。(と、云うのが私の推測です。) (2019年7月20日 15時) (レス) id: b5aabf0ca5 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - あいどんとすぴーくいんぐりっしゅさん» ありがとうございます。惚れていただけるなんて光栄です。更新頑張りますので、楽しみにしていてください(*^^*) (2019年6月6日 19時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ - え……なにこれ………めっちゃ好きなんですけど!!ヤバい!この小説に惚れる!いやもう惚れてる!更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2019年6月6日 18時) (レス) id: 7b91c6ec22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2019年5月3日 17時

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