spin a yarn about … (ページ2)

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2：ムラカミさんページ2

９時５０分になっても、この部屋には誰も来なかった

早く着きすぎたのかな…

でも、進路主任の先生には１５分前には着いておくように言われてたしな…

特にすることもなく、時計の音だけが響くこの部屋での５分は、とてつもなく長く感じた

さらに５分が経とうとしてたとき、

ｺﾝｺﾝ

部屋のドアがノックされた

開いたドアの隙間から見えたのは、さっきの受付の女性

女「どうぞ」

その後ろから、紺色のブレザーに黄色いネクタイ、ブレザーと同じ色のプリーツスカート姿の女の子が部屋に入ってきた

女「こちらでおかけになってお待ち下さい」

さっき、私にもかけた事務的な台詞を彼女にもかけて、受付の女性は去っていった

「はじめまして、私、栄所商業高校のムラカミ彩希です、あなたも高校生？」

人懐っこい笑顔で私に話しかけてきた彼女

『あっ、はい…八葉商業高校のAAです、はじめまして…』

人見知りな私は、小さな声でこう答えるのが精一杯

ム「隣いいかな？」

『はい…』

ムラカミさんは私の左隣の椅子に腰かけて、荷物を床に下ろした

ム「ねぇ、八葉って…私と逆方向だよね？」

『そうですね…』

ム「栄所って知ってる？」

『あっ、はい…』

彼女と私の学校は、東京を挟んで逆方向にある

どうやら、お互い一時間くらいかけて、ここまできたらしい

というか、会議室でお喋りってしてていいもの？

監視カメラとかで、態度とか見られてたりしない？

不安になりつつも、ムラカミさんからの質問に答える形でお喋りは続いていた