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日は変わり、朝の教会でカリーナが目を
  閉じ祈っている。他の人間はおらず彼女
  一人のようだ。
  と、どこからか現れた神父がカリーナの
  背後に立つ。何を思っているのか、薄く
  笑みを浮かべ、暫しの間椅子に腰かけた
  少女を眺めていたがやがて口を開く。



神父 やあ、君はカリーナだね。お母さんから
 よく話は聞いているよ。

カリーナ (目を閉じたまま) 悪魔のようで恐ろ
 しい、って?

神父 (図星だったようで気まずそうな顔になる) いや……とてもいい子だと聞いている。

カリーナ (目を開けて笑う) 嘘ばっかりね。

神父 いや、嘘では……。

カリーナ いいのよ。(ふと笑みを消し) あたし
 のママも嘘つきだもん。昼は良き妻のふり、
 夜は被害者のふり。(急に無邪気に) ねえ、神
 父様。

神父 なんだい?

カリーナ 悪魔は悪魔の姿をしているの? そ
 れとも人間の姿をしているの?

神父 人を惑わすために人に化けるものもいる
 よ。若い女性の姿で誘惑したりね。

カリーナ (楽しそうに) あたしのママみたい!

神父 (逃げるようにカリーナから目を逸らし)
 おかえり、テオフラストゥス。


  ちょうど帰ってきたテオがカリーナを見
  て目を丸くする。話しかけようとしたと
  ころを神父が腕を掴んで引き寄せ、カリ
  ーナに聞こえないように声を落として問
  いただす。


神父 (別人のように低い声で脅すように) なぁ
 お前、あの子に余計なこと話してないだろう
 な。

テオ (俯き) 僕、何も話してなんかいない。痛
 いよ、お父さん。



  乱暴に息子を離すと神父はカリーナを一
  瞥して苛だたしげに舌打ちする。


神父 (ボソリと) 忌々しいメスガキだ。

テオ (暗い声で) 父さん、ちょっと散歩してく
 るね。

神父 (打って変わって優しい声で) あの悪魔の
 屋敷には近づくんじゃないぞ。

テオ (少し泣きそうな声で) うん、大丈夫。



  テオが去るとカリーナが急に立ち上が
  り、後を追う。残された神父は二人の去
  った方向を見つめていたが突然、狂った
  ように笑い出す。



神父 (笑い止んで) ああ穢らわしい穢らわし
 い。人間のほうが……。


  言いかけてふと無表情になり、よろめい
  て膝をつく。苦しそうに胸を押さえなが
  らも酷薄な笑みを浮かべる。


神父 馬鹿なガキだ……何も知らぬまま悪魔の
 贄になるがいい。

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田無苑珠(プロフ) - ドロテアさん» わあ、ありがとうございます!慣れてないのでちょくちょく書き方が変になるかもしれませんが、頑張って更新していこうと思います! (2019年1月30日 7時) (レス) id: a676c591ca (このIDを非表示/違反報告)
ドロテア(プロフ) - ブログの方から来ました。戯曲、私も好きです。完成するのを楽しみにしています。密かに応援させてください (2019年1月29日 23時) (レス) id: c848795b2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田無苑珠 | 作成日時:2019年1月28日 21時

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