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001双璧 ページ1





『そのまま右。標的に辿り着く前に周りに居る護衛のうち3人はお情けの反応見せるから適当にいなして』

「3人もいるわけないよね」

「そのくらい手抜いて」


 無線機の奥にいる相手に向かって気の乗らない返事を返すと大きな屋敷の広間へ向かって歩く人影が滑る。投擲された針は勢いよく飛んでいき標的に当たる──と思いきや、辛うじて3人の男が目標を逸らす。


「メルの言った通りだね」

『だから言ったでしょう。ナイス手抜き』


 今までに観測された動きから能力値まで割り出してしまうのだから天賦の才としか言いようがない。また、指示通り対応する男も化け物としか言いようがない。



 既に部屋の中で酸素を吸える人間など1人しか居ない。残りの人間が二酸化炭素の代わりに吐き出すのは静寂のみだった。


「これで終わり? 終わったのなら早く帰るよ」

『終わりよ。額に合わない仕事だわ』



 無線機の向こうから余裕綽々の笑みを浮かべているのであろう妹の声が聞こえてイルミは眉一つ動かさないまま言った。


「報酬いくらで引き受けたの?」

「…5000000000ジェニー。裏がありそうでしょう?」


 背後からいきなり現れた女に驚くこともなく後ろを振り返ると先程まで居た屋敷に目線を動かした。


 額と先程の相手を比べ、首を捻る。……大きくはないけど小さくもない。その程度の組のボスの始末なら50億も出さない。



「確かに多いね。親父が、個人からの俸給依頼は受けない方が良いよってさ。...オレとの約束も忘れたの?」

「なんで? 忘れてないけど」


 分かっているだろう、と心の中で呟くものの声に出したところで笑顔で躱されて終わりなのは分かっているため何も言わない。


「信頼と実績がないから」

「......私の勝手だよ」

「メルに巻き込まれるのはオレだよね。メルは約束も守れないし」


 まぁまぁ、と軽くおちゃらけた調子で返す。


 指を軽く唇に当て、浅めに微笑む。
斜め上に虚空を見つめる瞳が暮れかけた夜空を映し、目の前に立つ双子の兄を映し────。


 見えないどこかを映しこんだ。


「さ、帰ろっか。家に着くまでに毒草取りたいから手伝ってね」

「オレの話聞いてた? 別に良いけど」


 イルミ=ゾルディック。
 双子の妹、メルイ=ゾルディック。


 名高い一族の長男と長女。
 2人揃って"双璧"と成る。


少女は嗤う。
煌めく瑠璃を闇夜に溶かしながら。
依存する側とされる側で成る双璧は今日も闇に潜む。

002依頼遂行中→



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のの - めっちゃ好きです、再度失礼しますー!! 応援してます!! (12月11日 16時) (レス) @page9 id: 4685323d64 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃあろ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです、頑張ってください!!絶対と内容がほんとに好き…… (12月9日 20時) (レス) @page7 id: a89e9c6a81 (このIDを非表示/違反報告)
hxin - がんばって、すき (12月9日 8時) (レス) @page5 id: eab9e2d2e5 (このIDを非表示/違反報告)
fille - すここ (12月8日 22時) (レス) id: 1bf7c70f46 (このIDを非表示/違反報告)
のの - おもしろーいです!! 頑張って! (12月8日 19時) (レス) @page5 id: 4685323d64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくにょ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年12月8日 17時

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