理由 ページ23
希佐side
合宿2日目
今日の稽古では、根地先輩が執筆した『夢食いバクと僕』というショートストーリを二人一組で
演じた
歌手になろうという夢を追いかけている「僕」と、その夢を食い潰そうとする「バク」のお話だ
私が演じたのは、ジャックである「僕」
そして、ペアとなったジャンヌの「バク」を演じたのは、フミさんだ
読み合わせをして、台本に沿って稽古をして、あっという間に時間が過ぎていった
ただ、Aさんの姿は最後までなかった
根地先輩が言うには、体調不良らしい
それがあったからか、今日の稽古は良く知る雰囲気だった
これが良いとは思えないけどーー
更文「キサ、ちょっといいか」
呼ばれた方に顔を向ければ、飲み物を片手に持ったフミさんがいた
ほとんどの人はもう部屋に戻っただろう、舞台上には数人の姿しかない
フミさんは、この時を待っていたのだろうか
「どうかしましたか？」と聞くと、フミさんは一瞬迷いをみせた
希佐「フミさん？」
更文「…Aのこと。これまでは、できるだけ近づくなって言ってただろ？」
希佐「はい。今のAさんは飢えているから、と」
ただ、それは”守るため”であると白田先輩が言っていた
だけど私は、本当の理由を知らない
フミさんは今、その理由を明かそうとしてくれているのだろう
急かすことなく待っていると、フミさんは慎重に言葉を紡ぎ始めた
更文「アイツは…他人の特徴を食っちまうんだ。相手の癖や声色、それから才能を自分のものにしちまう。まぁ、それ自体はAが特別ってわけじゃない。演者なら、役作りのために多かれ少なかれ他人を参考にするだろ？流石に才能をって奴はいないだろうけど…。普通は限度があるんだよ」
希佐「限度…ですか？」
更文「あぁ。どれだけ真似しようと、技術がなければ似て非なるものになる。そうでなくても、他人をそっくりそのまま自分に落とし入れようとはしないんだ。人によって骨格とか筋肉量が違うし、その演者の良さも薄れちまうから。一旦飲み込んで、それから自分のものとして扱う奴が多い」
それが一般的なのだ、とフミさんは言った
ということは、たぶんAさんはその一般的にはあてはまらないんだ
更文「気づいたな。Aは、見たものをそっくりそのまま演じられるんだ。体格の差も埋めてな。これはもう、アイツの才能なんだろうよ。んで、話の本題はここからな。」
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甘味! - ひえっ設定とかいろいろ好きすぎる､､､応援してます！頑張って下さい！ (2021年6月20日 15時) (
レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
イェ二 - ライラックさん» コメントありがとうございます。不定期のうえ ゆっくり更新ですが、楽しんでいただけると幸いです。 (2021年4月28日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 面白いです。とっても面白いです。更新頑張ってください！ (2021年4月25日 18時) (レス) id: a6b9c04261 (このIDを非表示/違反報告)
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