できないこと ページ15
更文side
更文｢稽古、出れんのか？｣
与えられた部屋へ向かう途中のAを引き止め、そう聞いた
合宿には来ると分かっていたが、稽古に出るかは分かりかねた
Aが最後にクラス稽古に参加したのはいつだったか
もしかしたら継希さんが卒業してから、数えられる程度かもしれない
そのどれもが平穏な稽古であったとは言えないけど…
できることならば、また共に稽古をしたいと望んでいた
そんな俺の思いを知ってか知らずか、Aは見覚えのない柔和な笑みを浮かべている
そうやって笑えるのなら普段からすりゃいいのに
伝えたところで、他人の真似をしてるに過ぎないと返される
Aは、昔から自分の感情を隠そうとする…
A｢稽古は出るよ。黒門に釘刺された｣
更文｢そうか｣
穏やかだ
表情も声色も
これなら落ち着いて話せそうだと思った矢先、Aの表情が歪んだ
A｢迷惑？邪魔？いない方がいい？｣
更文｢…んな事言ってねぇだろ｣
A｢あ…そうだね、ごめん。フミはそんな事言わないよね。でも、他のみんなは？77期生は？｣
更文｢気にしすぎだ。普段、稽古に顔出さねぇからな｣
珍しいんだと言うと、Aは微妙な顔をした
だけどそれ以上何かを言うことはない
以前だったらこんなことなかった
誰かの真似をしてる時、他の誰かが混ざることなんて…
A｢あ、立花くんだ｣
そう零したAの視線を追うと、通路の向こうに1年の3人組がいた
キサが何か言っているのか、スーとソーシが首を傾げている
もしかしたら、こっちに来ないようにしているのかもしれない
場所を変えようかと思っていると、Aが｢78期生か…｣と無感情にこぼした
A｢変わっていくんだな…何もしなくたって…。……こうやって…失われていくんだな……｣
更文｢……A｣
A｢フミ、僕はあの素晴らしい舞台をもう一度見たいんだ｣
まだ諦めてないのか
あの最終公演を…
俺にとってもあの公演は特別だ
だけど…
更文｢…継希さんは、もういない｣
A｢いるよ。いる。僕の中に継希先輩はいる。僕じゃ継希先輩を真似ることはできないけど、あの子ならできる｣
更文｢希佐は希佐だ。他の誰でもねぇ｣
誰かに継希さんを求めんのは、違うんだよ…
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甘味! - ひえっ設定とかいろいろ好きすぎる､､､応援してます！頑張って下さい！ (2021年6月20日 15時) (
レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
イェ二 - ライラックさん» コメントありがとうございます。不定期のうえ ゆっくり更新ですが、楽しんでいただけると幸いです。 (2021年4月28日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 面白いです。とっても面白いです。更新頑張ってください！ (2021年4月25日 18時) (レス) id: a6b9c04261 (このIDを非表示/違反報告)
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