クレイジーチョコレート 4 ページ23
ブラウニーを頬張る智くんにココアを渡すと、
目だけで見上げて笑ってくれる。
「甘いもんに甘いもんだな」
「コーヒーにする？」
「んん、いいの」
「どう？」
「うめぇ」
「ココアが？」
「チョコもだよ」
面倒くさい彼女みたいなことを言ってみても
ちゃんと付き合ってくれるところも優しい。
智くんは半分以上が優しさでできてると思う。
優しさ含有率、バファリン超え。
「ね、智くん」
「なに？」
「こないだ、お嫁においでって言ったよね」
「言ったね」
「プロポーズ？」
「んふ。そんなんじゃないけど」
「そっかー」
「ざんねん？」
「うん」
ぶほってココアをふきだされる。
「やだー、きたなーい」
「ごめ、布巾」
ココアを拭きながら喉を押さえてる。
気管に入ったのかな。
ちょっと笑うと、笑いながら睨まれる。
「A、全部思い出した？…翔くん、のこと」
「全部は、どうかな。でもね、思い出した。いろんなこと」
智くんに抱きしめられながら、あの日、思い出したよ。
頭がぐるぐる回るけど、智くんが支えてくれたから思い出したよ。
息ができないほど苦しいけど、智くんが今私の隣にいてくれる。
「翔くん？を、思い出しても、おれといていいの？」
「え？」
「おれはね、恋人だったんじゃないかって、思ったけど。ちがう？」
智くんの指先がカップのふちをなぞる。
「恋人、では、なかった」
「…ん。そっか」
「だけど翔くんのこと、ずっと憧れてた。」
「うん」
「ずっと、息ができないほど、想ってた」
カップに爪の先が当たってカチと小さな音を立てる。
智くんが小さく息を吸った。
「でもあの夏の日に、智くんに拾ってもらったあの日に、」
「うん」
「私、自分がどれだけ醜い人間か思い知った」
「A」
「翔くんを想う気持ちは、透き通ったきれいなものだって思ってたけど、違ったの」
「…うん」
「智くん」
「うん」
「私が周りの人を傷つけてた。」
智くんが少し俯く。
細く尖った肩を眺めながら、続ける。
「私、気付いてなかった。けどね、ほんとはどっかで分かってて、気付かないフリしてた。それでも、それくらい、好きだったの」
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奈緒(プロフ) - keiさん» お久しぶりです〜！いつもありがとうございます( ；∀；) 私にとっても大切なお話なので、ゆっくりではありますができるだけ進めたいと思います。 (2016年12月8日 4時) (
レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - 智花さん» はじめまして。隅っこのお話を見つけてくださって感謝です。のんびり大切に書いていたら随分時間がかかってしまいました(*´-`) 気を長くお待ちいただけたら嬉しいです。 (2016年12月8日 4時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - さなえさん» さなえさん〜！いつもありがとうございます( ；∀；) 時間を見つけて書き続けたいものです。どうぞ長〜い首にマフラーを巻いてお待ちくださいませ(笑) (2016年12月8日 4時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます(^^) とてつもなく遅いお返事ですみません…。のんびりやっておりますが時たま思い出して楽しんでいただければ幸いです♪( ´▽｀) (2016年12月8日 4時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 待っていました(^-^) 仕事行く前の朝のひととき。慌ただしい気持ちが静かになりました。切ないけど大好きなお話です。また楽しみにしています！ (2016年12月7日 7時) (レス) id: c3893fc157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈緒
| 作成日時：2015年1月25日 20時
