クレイジーチョコレート 3 ページ22
私を抱きしめる智くんの腕の力が
少し強くなる。
「A、翔くんが来たよ」
「ここに…？」
「うん」
「どうして」
「うん」
「どうして…」
頭の中に何度も何度も響く掠れた声に胸が痛む。
「痛いよ」
「ん？」
「智くん」
ぎゅっと抱きつくと
分かってるよってかんじで右手で髪を撫でてくれる。
お母さんが赤ちゃんにするみたいに。
しがみつく私をあやすように、
智くんの右手はスーッと撫でたりトントンって叩いたりする。
「Aに話があって、家に行ったみたい」
家、お隣の、実家。
「そんでね、Aの母ちゃんが隣に住んでますよーって言ったみてぇだな」
「私に、話？」
「そ。Aは？あの人に話したいこと、あんじゃねぇの？」
話したいこと？
智くんがおかしそうにくすくす笑う。
「あの人、おれが出たらめっちゃびっくりしてんの」
そりゃあ、そうでしょ、私がいるって聞いてたんだもん。
「Aいますか？って。ちょっと怒ってんの。その前に自分の名前とか、遅くにすんませんとか、あるよねぇ」
くすくす笑いながら、
智くんは鋭い瞳で私を見て、唇にキスを落とす。
鋭い瞳はそのまま、もう一度私を覗き込む。
「彼女とはなんもない」
「え？」
「それだけ伝えてくれって」
「あ…」
「また来るって」
「う、ん」
「来なくていーのに」
智くんはくすくす笑う。
彼女って言葉に
ヒュッと大きく息を吸った私を何かから隠すように、抱きしめられる。
掠れた声と、ゆずの香りと、蒸し暑い空気。
頭をぐるぐる回る。
頭が、ぐるぐる回る。
それでも
智くんの冷たい瞳と
抱きしめてくれる温かい腕と、静かな声が、
私を引き戻す。
「まあさ、Aも、思い残すことない方がいいよね」
「なに、それ。私死んじゃうみたい」
「ふふ。心残りを無くして、お嫁においで」
智くんはくすくす笑って、唇にキスを落とす。
1回、2回、3回。
智くんが笑うと
抱きしめられた身体に振動が伝わる。
A、って呼んで、もう一回。
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奈緒(プロフ) - keiさん» お久しぶりです〜！いつもありがとうございます( ；∀；) 私にとっても大切なお話なので、ゆっくりではありますができるだけ進めたいと思います。 (2016年12月8日 4時) (
レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - 智花さん» はじめまして。隅っこのお話を見つけてくださって感謝です。のんびり大切に書いていたら随分時間がかかってしまいました(*´-`) 気を長くお待ちいただけたら嬉しいです。 (2016年12月8日 4時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - さなえさん» さなえさん〜！いつもありがとうございます( ；∀；) 時間を見つけて書き続けたいものです。どうぞ長〜い首にマフラーを巻いてお待ちくださいませ(笑) (2016年12月8日 4時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます(^^) とてつもなく遅いお返事ですみません…。のんびりやっておりますが時たま思い出して楽しんでいただければ幸いです♪( ´▽｀) (2016年12月8日 4時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 待っていました(^-^) 仕事行く前の朝のひととき。慌ただしい気持ちが静かになりました。切ないけど大好きなお話です。また楽しみにしています！ (2016年12月7日 7時) (レス) id: c3893fc157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈緒
| 作成日時：2015年1月25日 20時
