桜の花びら ページ3
よせくんが、自分達のクラスは三組だと教えてくれたので、その三組の教室まで走る。
そして、桜の香りが充満していた、空気から抜け出し、ここが一年三組であることを確認して教室に入る。
『間に合った〜、よかったね。』
『うん』
腰に手をあて、体を少し反らせて息を吐く小夏ちゃん。
自分も力を抜くように、細く長く息を吐く。
『ねぇ、みんな俺たち以外座ってるし、俺らも座った方がよくない?』
『そうだね、座ろう。』
よせくんの提案に賛成し、自分の席を確認することになった。
『え〜っ、Aだけ離れてる!』
すると、小夏ちゃんがそう叫び、確認してみると、自分が一番後ろの廊下側の席で、その次の列の一番前がよせくんとその後ろに小夏ちゃん。
まるで、わざとみたいに離れてる。
運悪いなぁ、自分。
『榎本って名字とうちらの名字でこんなにあからさまに離れるなんて普通あり得ないと思ってたのに〜!』
『ちょっと寂しくなるね。Aちゃんがいないと。』
『ね。お互い様だよ、自分も寂しい。』
二人とも寂しい、って言ってくれて少し嬉しかった。
本当に自分もお互い様。
私って人見知りだし、友達も多い方ではないし。
席が近くの子達に自分が馴染めるかが、すごく不安で仕方ない。
『まぁ、決まったことだしね。多分理科とかなら一緒になれるよ、きっと。』
『そうだね、理科に賭けよう。』
そう言って、そのまま解散し、各自がそれぞれの席に座る。
そして、何もする事がなかったので、頬杖をついて、窓の外をぼ〜っと見つめていた。
あ、そうだ、今日何時ぐらいに帰れるんだろ...
なるべく早めでありますように...
そう願いながら日課黒板に顔を向けた。
『あの...髪に花びら、ついてますよ?』
すると、ある隣の席の子が一言しゃべった。
男子かな...?
チラッと横目で隣を見てみる。
......わ、綺麗な顔...
ニキビ一つ無い綺麗な白い肌。艶やかな唇。日にあたって、オレンジ色に見える栗色の髪。
少しだけ着崩した制服に似合う、いかにも都会にいそうな、シティーボーイ。
だけど、手に持っているのは、小さめサイズの厚い小説。ブックカバーがついているから、どんなものかは分からないけど、真面目な子なのかもしれない。
『あの...花びら...』
『......え?私?』
私を見つめながら、頭を指さす彼を見て、やっと自分の事を言っているのだと気づいた。
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作者名：カラフル | 作成日時：2018年10月14日 19時
