マリ ページ36
健人side
「マリ！早くして！」
「待ってぇ！」
「遅刻するよ！」
我が家の末っ子を学校に送り出して仕事に行く。今日めっちゃ暇だわ。あんまやることない。そんなことあんのってくらい何もない。
そんな呑気なこと思ってたら中学から電話。
「もしもし？」
「ご飯の時にお弁当の中身を捨ててるのを見かけたので一応ご報告をと思って。」
先生とマリのこと相談してちょっとしたことでもいいから連絡くれって言ったからだ。
「家で聞いてみます。ありがとうございます。」
家でお説教だな。定時に帰れるし今日は。弁当なんだっけな。弁当には嫌いなものあんま入れないようにしてんだけど。
ぼーっと考えてたらそういえばアレ入れたな。マリにはまだ早いと思いつつ牛すじ。ダメだったかな。まぁご飯とか食べてからでいいや。
「ただいま」
「おかえりー！」
いつも通り飛び付いてくるマリを抱っこしてたら勝利が言ってきた。
「今日ねマリお弁当完食してたよ」
「全部食べた！」
これ以上嘘つく前に問い詰めるか。
「マリー？全部食べた？」
「うん！食べた！」
「ティッシュにくるんで学校のゴミ箱にポイってしたりしてない？」
ビックリして俺の顔見てる。
「...し、してないぃ」
「嘘ついたら砂時計だよ？いいんだね？」
「ぐすっ！したぁ」
そんなすぐ白状するなら嘘つかない方がいいのにな。全部完食したって褒められたかったのかな。
「膝から下りて正座して」
「んっぐすっ！ひっく！」
もう涙こぼしながら正座してこっち見てる。
「食べ物ってそうやって捨てていいの？」
「だめぇ！」
「食べれないなら残していいんだから。全部残すのはだめだけど、食べれるとこまで頑張って？」
「ごめっなさいっ」
「褒められたかったの？」
「んっ！」
「そっか。最近は結構全部食べれてるでしょ？頑張ってたんだからそれでいいの。」
「ん」
「お肉だめだった？」
「ひっく！なんかっ油だったぁ」
「ごめんごめん。お弁当には苦手なもの入れないから言ってくれたらいいから。捨てずに持って帰ってきて」
「わかったぁ！ごめっなさい！」
「じゃ、膝おいで。ちょっと痛くしとこ。」
グスグスしながら膝に乗った。嘘ついたけど砂時計...どうしよっかな。1人にはしたくないし。
パアァァァン！パアァァァン！パアァァァン！
「ひっく！ぐす！いだいっ！」
パアァァァン！パアァァァン！パアァァァン！
パアァァァン！パアァァァン！パアァァァン！
「もっ！やだぁ！けっとくんっ」
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作者名：ゆう | 作成日時：2022年2月10日 1時
