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健人side

聡とマリが連れだって散歩に連れていったから絶対に帰ってこないだろうなと思ってた。

「勝利、風磨、9時半になって帰ってこなかったら見てくるわ。大丈夫？」
「了解」
「んっ」
勝利がちょっと辛そうにしてるから頭撫でてやって、風磨がずっと側にいてくれてる。

絶対こうなるってわかってたんだよ。俺も辛いし。聡とマリが毎日頑張ってお世話して、可愛がってたから手放させたくないなって思いはするよ。でも絶対うちでは飼えない。

金銭的にも時間的にも、心の余裕も何もかも足りてない。俺らは俺らが生きていくことでいっぱいいっぱいなんだから。

「じゃあ行ってくる。勝利、キツかったら部屋いな。風磨のとこでもいいし。」
勝利はキツいと思う。めっちゃ動物好きだし。昔ずっと飼いたいって言ってたし。でもだいぶ頑張ってた。情があんまり移らないように上にいるようにしてたし。

上にいる時は大抵俺の部屋か風磨の部屋に入り浸ってたけど。たまーに切ない顔で撫でてるのは見たけど、聡とマリほどじゃない。聡は自己責任として、マリは何回かやめときなって言ったけど無駄だった。毎日早起きして散歩行ってたし。

獣医に事情説明して聡を探して歩いた。まぁ、公園とかだな。犬連れてるからお店とか乗り物はないし。それで近くのとこから順番に見ていったらいた。

号泣して離さないってやってる聡とマリ。全く。俺の心が痛いんだから。でも約束の時間に遅れてるからさっさと腕引いて連れていった。聡はずっと泣いてお願いしますの一言も言わなかったから代わりに言って連れて帰る。

めちゃくちゃ怒ってんな。マリは泣いてるだけだけど。
「ただいま」
2人とも上行ってんだな。
「リビングのやつ片付けといたから。」
諸々は先に片付けて、獣医さんが貰ってくれるって言うから渡しといた。

「健人くんのバカ！なんなの！結局捨てるんじゃん！俺らのことだってそうするんでしょ！可愛がっても平気でいつか捨てるんでしょ！マリも今だけだよ！そうやって可愛がられるの。どうせ捨てられるよ！」
「聡！こっち来い！」

リビングに入ってきたと同時に怒鳴られた。声聞いて風磨が下りてきてくれた。
「言っていいことと悪いことがあるだろ！」
「だって捨てたじゃん！」
「このバカ！風磨！マリ連れてけ！」
風磨に怒鳴って不安そうな顔してるマリを2階に連れてってもらう。

「捨てるわけないだろ！」
「だって捨てたじゃん！」