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風磨side

兄貴が聡の部屋行ったかと思ったら聡が犬抱えて下りてきて腰抜かすかと思った。マリは単純にかわいーってすぐ犬に触ってるけど。勝利もビックリしてる。

「風磨、悪いけど抱っこしてて」
兄貴に言われて聡から犬を受け取ったけど、ちっさ！ちっさすぎでしょ。
「飼うのー」
「飼わないよ。マリ。」
勝利がめっちゃ泣きそうな顔してる。わかる。俺も飼えないなと思うし、この子の運命がわかってしまってめちゃくちゃ辛い。

勝利も顔歪ませてるけどマリに付き合って一緒に遊んであげてる。兄貴と聡の話聞いてたらまとまったらしい。立ち上がって聡が手を出してくるから渡す。
「風磨くんっ」
犬離して空いた膝にマリが乗ってくる。兄貴が見たらまた悩んじゃいそう。2人が獣医に行ってる間マリと話をしてた。

「マリはさ、なんで膝乗るの好きなの？」
「んん？好きだから」
「ふっ。そっか」
答えになってないけど取り敢えず好きらしい。勝利は俺らの様子見てる。

「勝利、大丈夫？」
「えっ？なんで？大丈夫」
「そう？ならいいけど。」
勝利と俺と兄貴は別れを先に考えてる。だから情が移る前にできれば手放したい。

聡はまだ可愛いから助けないとってそれだけだと思う。保健所ってワードには反応してたから知ってはいるんだろうけど。

「ただいま」
「あー帰ってきたの？かわいい！」
マリが大喜びだよ。なんで連れて帰ってきちゃうかな。兄貴の顔見たら顎で聡のことさしてる。聡がごねたんだな。

「そこの隅っこ。あとは好きにしろ。だけど聡がいない時はゲージから出すなよ」
「うん！」
「ねー名前何？」
兄貴、めちゃくちゃ見たくなさそうに指示してすぐキッチンの方にきた。てかマリ、名前つけたらきついぞー。

「聡に任せる」
「わかったよ。大丈夫？」
「マリと勝利のメンタルケアだけお願い」
「りょうかーい」

はぁ...絶対最終日大変なことになるわ。まず1番心配なマリを呼んで話をしとく。もちろん膝の上。
「マリ、あのねあの犬は1週間後にはいなくなるから。わかる？名前何にしたの？」
「そうなの？名前は聡ちゃんがつけちゃダメって」
「そっか。別れるのが辛くなるから可愛がるのはほどほどにしときなさい。」
「...うん」

絶対無理だわ。マリは普通に可愛がっちゃう。聡はちょっとはわかってそう。名前つけないって言ってるみたいだし。勝利は遠巻きに見てる。
「勝利、無理せずに部屋いていいよ。」
声かけたら上がっていった。