5にん 5

聡 ページ29

聡side

「ねぇ健人くん、親の話していい？」
「いいよ。なに？」
「俺の旧姓ってさ、○○であってる？」
...
最近ね、この夢めっちゃ見る。健人くんに過去の話を聞いて絶望する夢。過去、気になるけどね。親の顔も名前も知らないし。聞いてみよっかなぁ。

コンコン
「いいよ」
「健人くん...やっぱいいや」
一瞬聞こうと思ったけどやっぱなんか怖くてやめとこって思って部屋を出る。
「なにー？また叱られるようなこと？」

声が追いかけてきて心配そうな顔した健人くんに肩を掴まれた。
「違うよぉ。」
「じゃあ何？結構考え込んだ顔してたよ？」
「うーん...」
健人くんにならなんでも話せるし、なんでも聞いてくれるけど、親の話ってタブーな気がする。


健人くんが顔覗き込んでる。
「聡、何か不安なこととか心配なことがあるならすぐに言いなさい？」
「ほんとに？」
「え？もちろん。」
じゃあ聞いてみよっかなぁ。健人くんが健人くんの部屋に優しく背中押して戻ってくれるから2人でベッドに座る。

「俺の親のこと何か知ってる？」
「...あぁ、うん。知ってる。」
知ってんだ！でもちょっと迷ってる。健人くん。
「何が知りたいの？」
「えー？顔とか。あ！旧姓知りたい」
「そっかぁ。」
教えてくれるのかと思ったら教えてはくれなさそう。なーんだ。

「なんで急に知りたくなったの？」
「夢見る。健人くんに昔の話聞いて、苦しむ夢。」
「苦しむのか。なら今はやめとこ。お前が20歳になったら全部話す。そのつもりなの。」
「...そんなひどい過去なの？」
「全員だよ？全員20歳になったら話すつもりなんだ。勝利は知ってるから別だけど。」

「それでも知りたいって言ったら教えてくれるの？」
「...教えるよ。お前の話だし。」
なんかとんでもない話なんじゃないかって思う。健人くん、割りとオープンに普段はなんでも話してくれるから。

まぁいいや。怖いしちょっと自分なりに調べてみよ。静岡出身なのは知ってるし。前風磨くんが口滑らせてあっ！って顔して健人くんにしばかれてた。気付かないふりしたけど。

「じゃあいいや。ありがと」
「聡、待って。抱き締めさせて。」
部屋帰ろうとしたら急に抱き締められた。
「なにっ？」

「大丈夫だから。いつも大好きだし、何があってもどんな時でも味方でいる。最後の最後まで見捨てない。側にいて、支えるし守るし助けるから。」
健人くんに叱られ過ぎてうまく甘えられなかった時とか、何回も言われてきた。このフレーズ。安心する。

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