5にん 5

聡 ページ15

健人side

「聡！早く来い！」
聡がね、勝利と喧嘩して勝利の教科書破いちゃって。お仕置きだよって言ったら逃げた。だから今部屋から引っ張り出そうとしてるとこ。

「いい加減にしろ！」
「俺だけ悪いんじゃない！勝利も！」
「今は喧嘩自体に怒ってない。お前が破いたのに謝らないことに対して怒ってる。」
そんな大したお仕置きにもならないんだからさっさとこればいいのに。コーナータイムだな。

「もう待たない。」
「うわぁ？！」
聡を無理矢理部屋のクローゼットに押し込んでドアを閉めて開かないようにする。

「だせー！！出せ！」
「反省しろ。お前が反省できるまで出さない。勝利、行くよ。」
見守ってた勝利を連れてリビングに行く。

「なんの喧嘩？」
「いや、ホントにただ俺が今は付き合えないって言ったら怒って破いたの。」
「何に付き合うの？」
「わかんないけどなんか部屋来てってしつこくて。」

なんだろ。そう思いつつ勝利の破かれた教科書をテープで直してあげてたらマリの叫び声。今度は何。
「いだいぃぃぃ！！！」
声のする聡の部屋に慌てて入ったらマリが泣いてて、聡が立ち尽くしてる。

「なに？てか聡なんで出てんの？入れ。」
取り敢えず聡を押し込んでもう1回開かないようにしてからマリに話を聞く。
「なに？」
「そっちゃんが髪の毛引っ張ったぁ」
「...なんで開けたの？」
「喉乾いてるかなって心配で飲み物もってきてあげたの」

要するに閉じ込められてるとこをマリに見られて恥ずかしくて手が出たと。マリも開けんなよなぁ。まぁ悪くないから怒れないけど。言ってなかったし。
「聡はお仕置き中。マリも押し入れ入ったことあるでしょ？あれとおんなじ。」
「怖いじゃんっ出してあげようよぉ」

「マリと比べりゃそんなにすぐには泣かないよ。マリはもうおいで。」
腕引いて風磨の部屋に連れてって相手してもらっとく。聡も多分そろそろ反省できてる。だけどまた手出んのかぁ。

「そうーどう？」
「...」
話してやるか。自分から謝んのは無理そうだし。
「聡、なんで勝利に部屋来てほしかったの？」
「...」
「答えられない？」
「うん」

なんだろ。変なことじゃないならいいんだけど。
「後で勝利になら言える？」
「うん」
「わかった。じゃあそれは聞かない。勝利の教科書破ったこと悪かったって思える？」
「うん」
「じゃあマリのこと引っ張ったのは？」
「悪かったっ」
「よし。反省する準備はできてる？」
「...んっ」
出してやるか。

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