5にん 22

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健人side

いじめなんて二度と関わりたくなかった。苦しくて悔しくてたまんないよ。泣きながら話す聡をできるだけ冷静に優しく抱きしめるしかできなかった。

聡が寝てからね、風磨と話そうと思ってリビング降りたら風磨が勝利の隣に座って待ってた。おかしいと思ったんだよ。風磨、聡が寝る前に下降りたから。

「兄貴、勝利と話して。ちゃんと」
「…え？」
「勝利のこと怒ったんでしょ？」
あぁ…そっか。勝利にちゃんと聡のこと見てないとダメって俺、八つ当たりみたいなことしちゃったんだ。

「ごめんな勝利。」
「ぅん…ごめんなさい。もっとちゃんとお兄ちゃんできるよーに頑張る」
「っ…ごめん。ほんと。ごめんな。ほっぺたつねちゃったよな。痛かったな。ごめん」
「健人くんっ」

あー…ほんと、まだまだダメダメだ。勝利のこと抱っこして反省してた。ほんと、勝利だって子どもなのに何で怒っちゃったんだろ。

「ごめんな勝利。でもしばらく聡のこと気をつけて見ててあげて？」
「ぅん」

勝利が寝た後、風磨と相談して月曜日は休ませて、先生と話しに行ってなんとかなりそうになってから行かせようと思ってた。

なのに朝、聡に余計なことすんなって言われて、そのまま俺のこと睨んでほっといて！って怒鳴って出て行っちゃった。慌てて追いかけたけど、来んな！って言われて。

「はぁ…どうしよ」
「兄貴おはよ」
「聡さ、学校行っちゃった」
「え？！止めろよ！」
「余計なことすんなって言われちゃった…」

どうしよ。昨日の夜は不安そうにずっとくっついてたのに。こんな感じじゃなかったのに。
「…なんだろうな」
「ぅん…」
こんなに聡のことが分からないのは初めてだ。学校行って先生に話すべきなのか？でもそれで、今聡との信頼関係崩したら絶対ダメだし…

「健人くん、俺見とくから。仕事行きなよ」
「え」
「お兄ちゃんだから。俺も聡の。ちゃんとできるから」
「……わかった。頼んだよ」

勝利が笑ってわかってる任せといてって背中押してくれて、結局仕事行くことにした。でも、仕事中も聡のことで頭がいっぱい。なんで。金曜日にあんな変な行動取ろうとして、泣きながらごめんなさいして、ずっと側に引っ付いてきてて、朝だけあんな。

夕方、そろそろ聡帰るかなって時間にね、勝利から電話があった。
「もしもし？」
「聡がっ！手首っ！切った！」
「すぐ帰る。消毒して止血できる？」
「した！」

あのバカ。頼れよちゃんと。なにやってんだよ。どんだけ…辛いんだよ

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