5にん 21

マリ ページ45

健人side

今日はね、一大イベントなのよ。もう既に泣きそうなマリの手引いて車乗せる。
「マリ、約束だよ。抱っこしててあげるからジッとして、素直に口開くこと。できるね？」
「できないぃ〜」

あーあ。先行き不安だわ。マリね、乳歯がまだ残ってて、何回か歯医者行って診てもらってたんだけど抜歯しようって…。それによりによって風磨が来れない日しか予約取れなくて。

まだ泣いてないだけ偉いけどさ。今回ばかりは痛くないって慰めることもできないわ。だって絶対痛いじゃん。俺も抜歯なんてしたことないのよ。

「頑張ろうね〜」
「やだぁ…ねぇ痛くない？」
「えーっと、、終わったらアイス買おうな」
「ん〜」

絶対泣くだろうな。歯医者着いて、車から下ろす。
「行くよ」
「行かないぃ〜やっぱやめとく〜」
「やめとくとかないから。ほらおいで」

抱っこして、もう半泣きのマリを病院連れて入った。
「帰るー！」
「はいはい。ちょっと受付するからここいてよ？」
問診票書くために一瞬手離した時だった。

「帰る！！」
全力で走られて、捕まえるより先に外出られた。
「マリ！！」
慌てて追いかけて出たけど、いない…？

「マリー！戻ってきなさい！マリ！！」
結構近く歩き回って探したけどいなくて。マジかよ。どうすんだよ。病院側は後でいいって言ってくれてるけどさ、車で来てんだぞ？1人で帰れるわけないし。

「マリー！マリウスー！」
ダメだ。完全に逃げられたか聞こえる範囲にいても出てこないやつだ。近くにいるって信じてカマかけるか。
「あーあ。今日は歯医者もうだめかぁ。また来週だな。先家帰るか。さ、車のろっ…」

わざと大声で1人で帰るふりしてみた。一か八かだよ？そしたらね。どこにいたのか。だーって走ってマリが出てきた。
「マリ」
「帰るんでしょ？」

「抱っこしようか」
逃げられる前にね。してやったり顔でニヤニヤしてるマリを抱き上げてそのまま歯医者戻る。
「えっ！なんでっ、！帰るってぇ！」

「このまま帰ったら布団叩きでお仕置きだぞ」
「ひっ？！」
「ちゃんと治療してから帰ったら平手にしてやる」
「なんでぇー！！」
「当たり前だ！病院に迷惑かけたんだ！まず先生に謝りなさい！」

看護師さんが察して個室に通してくれて、すぐ先生が来てくれた。ほんと、迷惑しかかけてないんだから…俺が謝ってる腕の中でマリの涙が決壊よ。
「うえぇぇぇん！やだぁぁぁ！かえるーー！」
「謝りなさい！」

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