5にん 21

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風磨side

やべ。友達と長々と喋りすぎたわ。そろそろ聡迎えに行かないと。
「じゃあな！」
友達が帰るの見届けてからさっき聡が指差してた台のとこ行ったら…いねーじゃん。

そう思ったんだけど、商品が出てくるとこでなんか動いてるなと思ってみたら…聡？！中入ってる！最悪！慌てて店員さん呼んで出してもらったけど、そりゃ怒られる。

あんまり慣れてないけど、俺が迷惑かけた時兄貴がするみたいに全力で謝ったら、もう来んなって…。他のお客さんに呼ばれて、どっか行っちゃったし。

気まずい顔で俺の横に立ってた聡の腕引いて、外出て近くのベンチに座らせる。俺怒られ慣れてるけど、ちゃんとした説教とかあんましねーんだよな。

「聡、さっきのはダメ」
「…ごめんなさい」
「おぉ、えーっと、なんで入ったの？」
そんな素直に謝られたらなんて言っていいのか…

「隣の人がやってたから…下から手入れて商品動かしてたから…」
「それ、どんな服装の人だった？」
「助けてくれた人と同じ赤い服着てた」
「はぁ…それはスタッフさん…仕事でやってたの。聡はお客さんなんだからちゃんとお金払ってやんなきゃダメ」

しゅんとして頑張って俺の顔見てるの分かるし、ちゃんと聞いてるのも分かるし…もういいかな。兄貴が知ったらぜったいお仕置きだから言わないようにだけ言っとかないとだ。

「もうしないって約束して？」
「ぅん…あっねぇ、健人くんに言わないでっ」
「言わない。だから聡も絶対言っちゃダメ。わかった？」
「うん！！言わない！怒られたくないもんっ」

よかった…これならバレなそう。だってバレたら聡もお仕置きだけど、俺も見てなかったこと絶対怒られるもん。怒られたくねーよ。聡が嬉しそうにギュッて手繋いでくるから、ちゃんと繋いでやって帰ったよ。

「ただいまぁ！」
「おかえり。風磨、ありがと」
「別に」
「うん。聡、取れたんだ？よかったな」
「ぁっ！うん！そうなの！取ったの！」

いつもなら帰ったらすぐ部屋行くけど、聡が言わないか不安でリビングで見てた。

「何回で取れたの？」
「ぁ、っとぉ…4回」
「そっか。すごいね。じゃあ100円返して？」
「え？！あ、あの、5回目だった…」

ヤバい気がする…兄貴に隠し通せると思った俺が馬鹿だったかも。スーッと目が鋭くなった兄貴に背筋が凍る。
「聡？目見て答えて」
「…」
「聡、目を見なさい」
「…っ」

「ねぇ健人くん〜マリチョコ食べたい〜」
「マリ？チョコは終わり。聡に話あるからね」

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