5にん 20

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健人side

怪しいと思った。マリが素直に話ししてくることも。勝利の目がずっと泳いでることも。それで風磨の服って言い出したから、今洗濯に出てる白いパーカーって風磨が奮発して買ったやつだぞ…って。

不安になって見に行こうとしたら白状した。最悪だわ。墨汁は落とせない。風磨が珍しく部屋に逃げたの見て勝利がポロポロって涙こぼした。

「はぁ。今は行かないで。後で風磨と話してあげるから。で、それはいいとしてお前何嘘ついてんの？」
「っ！」
ビクってして顔上げた。
「マリ使って嘘つくなんて最低だぞ。マリ絡めれば許されるなんて馬鹿な考えやめろ」

「ごぇんなさい」
「和室行きなさい」
んって頷いてトボトボ和室行ったよ。聡とマリがハラハラして見守ってる。

「ん。2人とも大丈夫だから。好きにしてていいよ」
「うん」
「僕悪くないよぉ？」
「分かってる。マリは嘘付かずに報告できて偉かったな」

まぁどうせ、勝利に言わないでって泣きついて断られたんだろうけど。それはいいや。素直に言ったし。さ、和室行きますか。

「勝利」
「ひっく！ひっく…ぐずっ」
あー傷付いてんなぁ。自分が悪いのに、風磨に嫌われた！って気持ちになっちゃったんだろうね。
「風磨に後で謝ればいいから。今は嘘ついたこと反省しなさい」

「ひぐ…ひっ、うぇっ…ひっく」
「はぁ、仕方ないなぁ。おいで」
さっさとお仕置きして終わらせようと思ってたのに、勝利の傷付きっぷりがすごくて。

「抱っこしよ。おいで」
声かけたら恐る恐る膝に乗ってきたから抱きしめてあげる。めっちゃ泣いてるじゃん…しゃくりあげる背中を優しく撫でてた。

「風磨は許してくれるよ。大丈夫」
「ひぐ…ひっくぅ」
「うん。ショック受けちゃったな。風磨もまだ大学生だからたまには感情のままに行動することはあるよ。大丈夫」

そろそろ落ち着いてきたかな。
「勝利、降りて正座しな？」
嫌がってるけど、ぐって背中押したら降りて正座した。

「よし。風磨のことは今はいい。嘘ついたこと反省しなさい。そんな簡単に嘘つく人間になるな」
「ん」
「さっき嘘ついて、バレたらどうしようって怖かっただろ？なら最初からつかないほうがいい。信頼失くすぞ。膝おいで」

不安げな顔でこくって頷いて乗ってきた。
「ん。10回な」
パアァァァン！パアァァァン！パアァァァン！
「あっ…ぐずっ」

ま、そんな痛くしなくてもいい。勝利はそうそう嘘つく子じゃない。

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