5にん 20

2 ページ2

健人side

聡がスキー合宿だって。うち、スキーはあんま行かないからなぁ。まぁ口すっぱく言い聞かせたよ。絶対変なことするなって。命に関わるから。それでもあんまりにも不安だったから、夜も寝る時間くらいにLINEした。

わかってる！って一言だけ返ってきたし。それでまぁもう聡は寝ただろうなって時に明日のマリたちのお弁当作ってたら、風磨がスマホ持って来た。

「兄貴、学校から」
「学校？こんな時間に？」
スマホ見たら、聡の高校で胸騒ぎがする。いや、ちょっと体調崩したとかだよな。

「もしもし？」
「すみませんっ！聡くんが消灯時間過ぎてっ…抜け出して…遭難して、」
「え？！遭難？！」
「今捜索中ですっ…見つかり次第ご連絡しますが…」

遭難…風磨も険しい顔でこっち見てる。どうしよ。遭難…見つかるのか？スキー場の夜って真っ暗じゃないか。それに寒いし。震える手でスマホ置いたら風磨がすぐ来た。

「兄貴っ、遭難って何？！」
「やっ…そぅ…遭難したって…友達と行って、聡だけ…」
「…見つかるよ…」
「俺行く…今から行けば…っ」
「見つかるからっ！ダメ！」

風磨と2人、怖すぎて震えが止まらなくて、リビングでテレビ付けてた。聡のスマホに何回も電話したけど出なかった。どうしよっ…どうしよ…不安でたまらなくて、願うことしかできない。生きててくれ。生きてたらなんでもいい。

prrrrr
俺のスマホが鳴って、すぐ取ろうとして手が止まる。怖いっ！今から何言われるんだろ。風磨が手に取って渡してきて、恐る恐る出た。

「もし…もしっ」
「見つかりました！足怪我したみたいで、今救急で搬送されました。すみませんでした！」
「はぃ…」

「兄貴っなんて！」
「見つかったって。足怪我してるって」
今度はホッとしすぎて力が入らない。涙がどんどん出てくるのをタオルで押さえて、次の電話を待った。

次にかかってきた電話で、捻挫で済んだって言われた。今日は病院で寝て、明日の朝みんなと合流するって。帰りはみんなと一緒だから学校まで迎えに来てくれって。

「聡と話せますか？」
「あ、はい。代わりますね」
「…もしもしっ」
「聡っ…よかった…」

「怪我大丈夫か？他に辛いとかない？」
「ごめっなさい」
「それは家で聞くけど、大丈夫なんだな？捻挫以外怪我してないな？」
「ん…」

「じゃあゆっくり寝なさい。大丈夫。明日になったら会えるから」
「…ぅん…おやすみなさい」
「おやすみ」

3→←聡

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す