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勝利side

面談の日、学校行ったら先生に呼ばれた。
「バイト応募した?」
「えっはい」
「禁止なの知ってるよね?今日お兄さんに話するから。」
だってさ。死刑宣告みたいなもんじゃん。先生にしつこくなんでって聞かれて答えちゃった。本心。

でも、別にそこまで素晴らしい考えって訳じゃなくて、就職して、稼いで、自分一人で行きたい大学の学費払えるようになってから行けばいいって考えでもある。

面談で言われちゃったし。全部。
「勝利の気持ちはすごく嬉しい。いつも家族のこと考えてくれてありがとう。」
健人くんがゆっくり俺に向けて話し始めた。

「本気で、これから先ずっと働いていくなら止めない。でも、どこかで大学行きたいなって気持ちがあるなら行ってほしい。」
あるよ。もちろん。普通じゃない人生だったから、せめて大学は行って普通のルートを歩みたいって思うことはある。

多分、バレてる。俺の考えてること。
「例えば、働いてから自分のお金で大学行こうと思ってたりするなら、それはやめてほしい。そういう選択肢もない訳じゃないけど、同年代の子達が大学行くのを羨ましいと思いながら働いて欲しくない。」
ほらね。健人くんにこういう隠してる気持ちは意味ない。

「その気持ちとか、家族の負担になりたくないって思いがどうしても強いなら、奨学金もあるし、大学入ってからバイトして自分のためのことは自分で払ってくれたらそれでいい。風磨はそうしてるでしょ?」
「うん」

「で、どこの大学にするの?」
黙って大学名指差したら頭クシャって撫でられた。
「じゃああと半年くらいだね。応援する。」
って言ってくれる。結局健人くんには敵わないんだよ。俺の勉強したいことってあんまり国公立にある学部じゃないから。

「先生、これからも面倒見てやってください。今回はバイトの件、ご迷惑お掛けしました。」
あ!忘れてた。帰ったらお仕置きじゃん。進路のことで一気にホッとしたからつい。

学校を出て、2人で歩きながら話す。
「学部、絶対そうだと思ったよ。」
「え?」
「ちゃんと知ってんだから、頑張ってることも、自分なりに調べてたことも。」

本当に敵わない。健人くんってすごすぎる。4人のこと平等にきっちり全部見てくれてる。
「それはそうと勝利。なんでそんなに学校のルール破りたがるの?そんなにお仕置きされたいの?」

あっ...あんまり全部見られてるのもいいことじゃないね。

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作者名:ゆう | 作成日時:2022年2月1日 14時

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