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健人side
マリのお仕置きは終わって、よかったんだけど、学校で話し合うって。あぁ俺行かなきゃだよなぁ。それで呼ばれた日に行った。
「すみませんでした。ご迷惑お掛けして。」
「いえ、うちの子も悪かったので」
最初は穏便な感じで終わるのかなって思ってたんだけど、だんだん雲行きが怪しくなってきた。
マリが一方的に悪者にされようとしてる。俺の立場の弱さのせいで。
「まぁ親がいないしねぇ」
「噂では血の繋がりもないらしいし」
「あんな若い子に躾なんか無理よ」
小声でざわざわざわざわ聞こえる。どうするのが正解かわからない。言い返したいけど、そうしたらマリが後で本当に何か嫌なこと言われるかもしれないし。
「みなさん、お兄さんは本当に厳しく接してますよ。ね?」
「...はい」
勝利の昔の担任の先生が助けてくれた。親父と同い年くらいなんだ。
「私の目の前で、3番目のお兄ちゃんを正座させて、説教して、お尻叩くんですから。しかも100回。強烈だったからよく覚えてます。ね?」
「はい。その節はすみませんでした。それに今回も。ご迷惑ばっかお掛けして。」
お母さんたち若干引いてるし。まぁ自分でも誰より厳しい自信はある。親父譲り。これは俺たちがこうやって親がいないとかそういうことで不利益を受けないために厳しくしてるんだって言われたことがある。
結局、マリ1人が悪者にされることはなくて、弁償とかにもならずに穏便に話し合いが終わった。よかった。
「先生、気にかけていただいてありがとうございます。いつもいつも。」
「私の息子と君は同い年だからね。応援してるし、何かあったら助けるよ。」
こうやって周りに支えられて理解されて俺らは生きてるし、生かされてる。先生に深々とおじきして、家に帰った。
「ただいま」
「お疲れ様。マリ、兄貴帰ってきたよ。」
「健人くん、ごめんなさい。」
もうあの日から何回も謝られていいって言ってるのに毎日来る。何が足りないんだろ。
抱っこしてあげて考える。なんか言ってないことあったかな。忘れてること。
「マリ?世界で1番大好きだよ?」
「僕も!」
「安心して。どんだけ叱っても厳しく接しても、絶対にマリの側にいる。大人になって、この家を出ていく時が来ても、ずっと一番の味方でいる。」
「うん。出て行かないけど。ずっと一緒にいようよぉ。」
あー。かわいい。でもすぐなんだろうな。うちの家が静かになるのも。
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作者名:ゆう | 作成日時:2022年2月1日 14時