＿＿ ページ45
｢…うぃ。終わり｣
鏡の中にいるのは、もはや誰か分からない。
そのぐらい馴染みのない姿にちょっと戸惑う。
胸下まであった黒髪がハイトーンベージュになり、
耳のすぐ下で揺れている。
2年経っても広斗さんの腕は落ちてないみたい。
余程上手かったのかな。
｢ありがとうございます、すっきりしました｣
｢んだそれ笑 失恋したみてぇ｣
｢じゃなくて物理的な毛量の話ですよ笑｣
本当に軽くなったし顔も明るく見える。
少し、今の若者っぽくなっただろうか。
｢俺はあのままでもいいと思ったけど｣
道具を片付ける広斗さんがなにか呟いた。
｢え、聞こえなかったです。何ですか？｣
｢なんもねぇよ｣
｢ええー、気になるなぁ｣
｢疲れたっつったんだよ｣
｢それはそれはお疲れ様です笑｣
なに笑ってんだ、とデコピンを1発食らってしまった。
なかなか痛い。こんちきしょー。
まぁでも、ここに来て何から何まで
1番お世話になったのは広斗さんだ。
オーナーの姪だからと甘やかさずしっかり教えてくれたり
でもミスしたとこ黙っててくれたり。
何だか少しの間だけお兄ちゃんが出来たようだった。
広斗さんのおかげで、思ってたよりも楽しいバイトだった。
｢広斗さん｣
｢んー｣
こっちを見もしないで返事する。
｢あたしが東京に帰っても忘れないで下さいね、笑｣
あの人に言えなかった言葉が、あの人以外には
こうも簡単に言えてしまう。
広斗さんの片付けていた手が止まる。
｢…忘れんのはお前だろ｣
また、聞こえない。
｢何ですか？｣
｢お前こそ忘れんなよ。またいつか来い｣
広斗さんが笑った。
綺麗で柔らかい笑顔だった。
それでいてどこか、儚くて消えてしまいそうだった。
その夜あたしは広斗さんと線香花火をした。
何の賭けもせず挑んだ勝負には、あたしが負けた。
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乃愛(プロフ) - この恋は線香花火 で三代目！？って思って飛んできました！作者さん天才ですか😭 (8月16日 22時) (
レス) @page22 id: 097daf5ae9 (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - このお話めっちゃ好きです‼︎‼︎‼︎! (8月16日 10時) (レス) @page49 id: 860ce47928 (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - ねさん» 読んでいただきありがとうございました。ネタが思いつかなくなってしまったので当分お休みしてしまうと思いますが、再開したらまた宜しくお願い致します。 (2022年9月4日 0時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - 紫陽花さん» 聴きながら読んでくださったんですね、とても嬉しいです。またこの夏のやまとくんに会いに来てくださいね。 (2022年9月4日 0時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
ね(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました！お疲れ様でした！これからも作者様のお話が読めますように！🙏 (2022年9月3日 14時) (レス) @page49 id: b58a06d955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：яeu | 作成日時：2022年7月31日 22時
