線香花火

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終始やまとさんが空気を送り込みながら
食べたたこ焼きのゴミを捨てれば、
さぁ！とまた手が繋がった。



『あ、ねぇ射的やってもいい？』



斜め向かいにある店を指す。
目をキラキラさせてるその無邪気さに、考えるまでもなく
首が勝手に頷いた。



祭りの射的はよく見るがやったことはない。
やはりこういうのは男の子に人気なようで、周りには
たくさんの小学生男子が群がっていた。



『見てて、俺これちょー得意だから』



子供に混じって大男が1人、銃を構える。
後ろで見守る保護者のようにあたしも後ろに下がった。



引き金を引いた彼の銃からコルクが飛び出す。
上から2段目の中央の箱に当たり、見事倒れた。



｢おおー、すごいやま…｣



思わず声が出てしまいかけた。
危ない、ここに彼の存在を知っている人がいないとは限らない。
言いかけたその言葉の先は小さい拍手で誤魔化した。



2発目、3発目、4発目も彼のコルクは無双し
次々にお菓子の箱をなぎ倒す。
得意という自負は伊達じゃなかったみたい。



そしてラスト5発目、1番上の少しオシャレな箱を落としたと
同時に彼のゲームは終わりを告げる。



｢兄ちゃん上手いねえ！｣


『ありがとう！貰ってくねおっちゃん！』



両手いっぱいに景品を抱えた彼が嬉しそうにこちらに来る。



『見てAちゃん、いっぱい取れたぁ笑』


｢すごいじゃん！歩きながらちょっと開けようよ｣



3箱はお菓子だからいいとして、残りの2箱が気になる。
すげーと感嘆の声を上げる小学生を背中に
あたしたちは再び人の波に乗って歩き出した。

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