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『行こ、めっちゃ気持ちいいよ』



不思議な感覚に全身を襲われている。
日傘を取り返して自分で隅っこに行くことだってできるのに。



さっきの光景が浮かんでは消え、その度に爪痕を残していく。
あの瞬間の彼は…憎らしくもかっこよく見えた。



あんなに色気のある男を生で見た事がなかったからだ。
脳や目が慣れていないだけだ。
きっと、そうだ。



『お姫様、素敵なお召し物が濡れないようお気をつけて。
お手をどうぞ』



片手で裾を持ち、片手で恐れ多くも有名人の手を借りる。
王子か執事かと思うようなその仕草が
彼にはよく似合っていた。



『気持ちいい?』


「…うん」



膝の深さのところまでエスコートしてくれた
彼の名が後ろから呼ばれた。



「やぁまとおおお、撮影ー!!」



あの声は多分髭の方だ。
よく通る声だな、笑



『呼ばれちゃった、戻る?』


「じ、自分で戻れる。早く行ってきて」



顔を上げた先には上裸があるものだから
あまり直視できない。
なんか心臓も煩いし、1人で落ち着きたい。



『終わったらまた来る!日傘ちゃんと差しててね、
熱中症危ないから』


「分かった分かった」



バシャバシャと水しぶきを上げて仲間の元に駆けていく。
引き締まった背中をぼーっと見ながら
あたしもゆっくり砂浜まで戻った。



沖縄の暑さにやられたのだろうか。
1人になってもなかなか心臓が休まらない。



波が寄せては返すちょうどいい場所に
座れそうな岩があったので腰掛ける。



買ったおにぎりでも食べるか…



しばらくこの水平線を見ていれば、正常になることを願って。

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乃愛(プロフ) - この恋は線香花火 で三代目!?って思って飛んできました!作者さん天才ですか😭 (8月16日 22時) (レス) @page22 id: 097daf5ae9 (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - このお話めっちゃ好きです‼︎‼︎‼︎! (8月16日 10時) (レス) @page49 id: 860ce47928 (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - ねさん» 読んでいただきありがとうございました。ネタが思いつかなくなってしまったので当分お休みしてしまうと思いますが、再開したらまた宜しくお願い致します。 (2022年9月4日 0時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - 紫陽花さん» 聴きながら読んでくださったんですね、とても嬉しいです。またこの夏のやまとくんに会いに来てくださいね。 (2022年9月4日 0時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました!お疲れ様でした!これからも作者様のお話が読めますように!🙏 (2022年9月3日 14時) (レス) @page49 id: b58a06d955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:яeu | 作成日時:2022年7月31日 22時

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