自称ヒロイン向井康二の話 ページ10
わいわいと周りの楽しそうな声が聞こえる。
そして俺らの個室だけは、怖いくらい静まり返ってた。
いなくなった阿部ちゃんと、俯いてテーブル睨みつけとるたくまくん。
あと、まあまあ衝撃的な発言に驚いて、相変わらずどうしてええか分からん俺。
「…たくまくん。」
恐る恐る名前を呼んでみる。
「…ごめん。」
何も言わんくても反省中らしい。
けど、俺のことはええのよ。
せやから
「俺に謝るん？」
とそのまま聞いてまうのは、まだたくまくんには辛い質問やったやろか。
「康二に悪いことしたから。」
「そうなん？」
「嫌なもん見せたし。」
「嫌っちゅうか…まあ、驚いとるよ。
メンバー同士が元彼ってのと、珍しい組み合わせでの言い合いには。」
そういうと、たくまくんはくしゃくしゃと髪をかき混ぜた。
「もう何年も前だよ。
康二達が入るより前に別れてんの。」
グループに入る前から仲は良かったけど、さすがにトップシークレットであったやろうそれは知らんかったなぁ。
「近くにいすぎない方がええって話し合ったんは、その別れ話でした会話ってことやってんな。」
「そういうこと。」
はあ、とたくまくんが溜め息を吐く。
「一緒にいたらいるのが当たり前になりすぎて、恋人としている意味が分かんなくなったんだよ。
ドキドキとかそういうのが無くなってさ。
で、なんで恋人やってんだろって違和感感じながら一緒にいるくらいなら、メンバーに戻った方がお互いの未来ためになるだろってことになったわけ。」
「なるほど。
でもまた阿部ちゃんの魅力に気付いてもおたと。」
「その言い方はなんかあれだけど…、まあ、そんなとこ、なのかな。」
苦い顔するたくまくん。
「でも、康二に謝んなきゃなんないのはそれだけじゃなくてさ。」
「まだなんかあるん？」
たくまくんは最近俺のこと驚かせすぎやろ。
俺心臓いくつ用意したらええの。
「告白のこと。」
「んー。
まあビックリはしたけど、ええタイミングや思って言ってくれたんやろ？」
「そうだけど、でもそれだけじゃないっていうか。」
それだけじゃない？
不思議そうにたくまくんを見れば、気まずそうに視線を逸らされる。
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よよよ - 初めまして！結構長く丁寧につくられていた作品でしたがもう面白すぎすぐに読み終えてしまいました！文章やストーリーに引き込まれてしまいもう素晴らしいです。オチの感じもすごく良くて一つ一つの表現が美しく綺麗で感動しました！素敵な作品をありがとうございました (2023年1月17日 9時) (
レス) @page23 id: 8aa624da18 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - 菜那香さん» 初めまして、こんにちは！美しさ、ですか！？初めて言っていただいたかもしれません…！ありがとうございます。しかも泣いてくださっただなんて…！そう言っていただけると一生懸命書いて良かったなと思えます。他のお話もそう思っていただけるよう今後も頑張ります！ (2021年4月14日 7時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
菜那香(プロフ) - さくあべのあまりの美しさに涙が出てきました...！素敵な作品をありがとうございました！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: c1db9a1b15 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - ハルさん» ありがとうございます！そしてそのセリフ覚えていてくださったんですね！？そうなんです、あのセリフから最終話に飛びました(笑)まさかそんな前の話まで覚えていてくださるとは！個人的なお遊び要素でしたが一緒に楽しんでいただけて嬉しいです！読み返しも感激です…！ (2020年10月25日 22時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - さーこさん» お久しぶりです！お仕事でお疲れの中この量を一気読みだなんて…！だ、大丈夫でしたでしょうか…。そしてありがとうございます…！泣いていただけたなんて、私がその言葉に猛烈に感動です。疲れた時には涙活がいいみたいなので、少しでもお役に立てていたら嬉しいです！ (2020年10月25日 22時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉子
| 作成日時：2020年10月14日 22時
