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康二がおろおろしながらもその場をおさめようとしてくれている。
それは分かっているけど、モヤモヤしたものはどうにも消化できない。
だって、このまま何も言わずに飲み込んだら、佐久間との日々は終わる。
ああでも、こんな言い方したら、今日で喧嘩別れか。
俺、バカだ。
「ほら、阿部ちゃんは心配してる振りして康二困らせてるだけじゃん。」
「…っ。」
図星をつかれて、思わず俯く。
康二の顔も、佐久間の顔も見れなかった。
「悪いけど、俺は康二の味方だから。
相談されてんのにめめ好きになるとか、有り得ないし。」
「そうじゃない！」
浴びせられる言葉に耐えきれなくて、思わず声を荒げた。
「そうじゃないけど、佐久間に俺の気持ちは絶対に分からない。」
そう言い終わってから、この個室が静まり返っていることに気付く。
「…ごめん、今日は帰る。」
財布から数枚のお札を取り出してテーブルに置く。
けど、その手を佐久間に掴まれた。
「分からないから知りたいじゃ、駄目なの？」
大きな目でジッと見られて、ごくりと唾を飲む。
だけど、あんな自分勝手な気持ち、分かり合えるわけ無い。
「気持ちが分からなくなって、一緒にいることを続ける意味も無くして別れたんだよ、俺達。
なのに今更、分かるわけなんて無い。」
手を振り払ったその瞬間が、俺と佐久間の繋がりを、今度こそ完全に断った。
オレンジ色の温かな照明の店を後にする。
温かい日々を手放すのは、いつだって自分のせいなのに。
視界が滲んでいくなんて。
そんなのは、自業自得だ。
滲ませる原因に気付かなくていいように、ゴシゴシと目元を擦ってまた歩き出した。
紛れもなく佐久間と決めた、それぞれの道、とやらのはずだ。
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よよよ - 初めまして！結構長く丁寧につくられていた作品でしたがもう面白すぎすぐに読み終えてしまいました！文章やストーリーに引き込まれてしまいもう素晴らしいです。オチの感じもすごく良くて一つ一つの表現が美しく綺麗で感動しました！素敵な作品をありがとうございました (2023年1月17日 9時) (
レス) @page23 id: 8aa624da18 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - 菜那香さん» 初めまして、こんにちは！美しさ、ですか！？初めて言っていただいたかもしれません…！ありがとうございます。しかも泣いてくださっただなんて…！そう言っていただけると一生懸命書いて良かったなと思えます。他のお話もそう思っていただけるよう今後も頑張ります！ (2021年4月14日 7時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
菜那香(プロフ) - さくあべのあまりの美しさに涙が出てきました...！素敵な作品をありがとうございました！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: c1db9a1b15 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - ハルさん» ありがとうございます！そしてそのセリフ覚えていてくださったんですね！？そうなんです、あのセリフから最終話に飛びました(笑)まさかそんな前の話まで覚えていてくださるとは！個人的なお遊び要素でしたが一緒に楽しんでいただけて嬉しいです！読み返しも感激です…！ (2020年10月25日 22時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - さーこさん» お久しぶりです！お仕事でお疲れの中この量を一気読みだなんて…！だ、大丈夫でしたでしょうか…。そしてありがとうございます…！泣いていただけたなんて、私がその言葉に猛烈に感動です。疲れた時には涙活がいいみたいなので、少しでもお役に立てていたら嬉しいです！ (2020年10月25日 22時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉子
| 作成日時：2020年10月14日 22時
