・ライブバー エイト ページ48
カラン…
倉「お、亮ちゃんいらっしゃい。」
錦「ん…」
倉「もー、元気だしって。大丈夫すぐ仲直りできるから。牛乳にする？お酒飲む？」
錦「…牛乳」
倉「はーい。…きょうすばるくん歌うで。やすがギターの日やし、終わったら一緒に飲んでくやろ？」
錦「うん…」
倉「お、まるちゃんお疲れ様。ちゃんしんも一緒か。」
丸「おっすおーくら〜。あ、亮ちゃんおるやん。隣ええ？」
錦「ん、えーよ」
村「はーしんど。今日すばるの日か。…亮、どないしてん？」
錦「あ…いや…」
倉「亮ちゃん、横山くんと喧嘩してんて。大人同士やのに不器用やなぁほんま。」
村「はー、なにやっとんねん。」
錦「…」
村「まじやんか。落ち込むなや、どうせ大したことないやろ？おなじ部署のおなじチームやねんから仲良ぅせな。」
錦「そうなんすけど…僕は、見せたいもんを優先させたくて、でもよかぁまくんはお客さんが見たいもんを全面にって言うて、正反対すぎて折り合いつかへんくて…ぼく…どなってもうて…そんで、そのままよかぁまくん出てってもうて…」
倉「半泣きで電話してくるからびっくりしたわァ。子供ちゃうねんから…とりあえず飲みにおいでって。」
村「まぁ、感情的になったら一回辞めんのはまちごうてへんな。明日なったらヨコも冷静になってるやろ。…丸？なにポチポチしとんねん。」
丸「んー？いや、なんでもないよ。」
倉「あ、すばるくんきた。」
ステージにあがるちっちゃい、だけど大きな2人。
やすがギターをゆっくりかき鳴らして、すばるくんが歌い出した。ライブスペースは今日も満員。と、カウンターの常連。その時、音楽に隠れるようにそっと店のドアを開ける影。ちらっと丸をみると、小さく目配せしてくる。まぁ、ナイスやな丸。
横「あ、すばる始まってもうたか。」
倉「いらっしゃい横山くん。今始まったとこやし。カウンターでええやろ？」
横「ん。…ヒナもおるんやな。…それと、どっくんも。」
錦「よ、よかぁまくん…」
横「…すばるとやすの歌、聞こうや。」
錦「…はい。」
外は黄昏。大きな窓越しに変わっていく空の色を感じながら、アコギの柔らかい旋律と優しいバラードに耳を委ねる。
少し隣を気にしていた亮ちゃんも、やがて大好きな音に耳を委ねて肩の力を抜いたようだ。
やすと会話しつつすばるくんらしいトークを軽く挟み、カバーを1曲、オリジナルを5曲ほど歌い上げた。今日も最高の時間。
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作者名：らむ倉 | 作成日時：2020年8月31日 17時
