無限大な日々短編集 (ページ32)

今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:19,915 hit

少年とわんこパッチパロページ32

ジョニー

あっついな…今日は風吹かへんから尚更あつい

今日は買い出し当番の日。店が定休日で、仕事もないからちょっと足伸ばして遠くの酒専門店で新メニュー考えながら長居してもうた。3時には帰るつもりやったけど、もう5時か…あと3、40分かかるな…
色々買いすぎて重たいし…しんど…

一斉メールで荷物の写真と誰か迎えきてって送ったけど、まぁ期待するだけムダやな。携帯電池きれたし笑

さすがに疲れた。自販機でもないか？…公園がある。ベンチくらいあるか。

ちょっと大きめの公園。木陰にベンチがあるわ。
…虫おる。やめ。

はぁとため息をついて何気なく見渡すと、少し離れた砂場で遊ぶ子供の姿が目に入る。
きゃっきゃとはしゃぐ子供をなんとなしに眺めていた。

だけど次の瞬間、目が釘付けになった。

「あっ…」

両手の買い物袋を離してしまい、地面に落ちてガサッと音を立てる。その音に一瞬子供たちがこちらをむく。
俺は確信を深める。
はしゃぐ子供たちの中の、3歳ほどの少年。

あれは…あれはエイトだ。

ほとんど直感的に思った。見れば見るほど、面影を感じる。エイトの家はこの近くだったか？いや、そんなはずはない。こんな所で出会うことなんてないはず。だけど、だけどあれはエイトだ。
視界が滲んで、気づけば1歩踏み出していた。

はっと我に返る。歩み寄って、どうする？エイトはもうエイトじゃない。覚えてるわけもない。俺が今エイトに会って、いいことなんてひとつもない。

「…」

前に伸ばしかけた手を、拳をぐっと握って下げる。

袋を持ち上げ、足早に公園を後にする。