306. ページ6
『ゆっくりしてて。ちょっと俺ベランダ。』
「倫也さん、わたしも行っていいですか?」
立ち上がった背中に声をかけると『いーよ。おいで。』とタバコを片手に上げて少しだけ振り返ってくれた。
倫也さんがタバコ吸ってる間...
そうだっ!
自分が羽織ってきたパーカーのポケットの中をガサゴソとすると
「あった♪」
パタパタとベランダへと向かって顔を出して『倫也さんっ!』って呼んだらタバコを咥えながら振り返ってくれて...
「ジャーーン!」
『ん?なにそれ。』
「え?ぽたぽた焼き。」
『んははっ、なんでそんなん持ってんの?』
「一昨日の帰りに伊藤ちゃんがくれてそれからずっとポケットに居たのに全く割れてない!!...奇跡...。」
『おーそりゃー奇跡だなぁ。』
バキッ!!
『ってすぐ割るんかい!笑』
「はい。倫也さん半分こ♪」
そう言って割った半分を渡したら
『あははっ、なつかしー。』
なんて言いながら口に含んでくれた。
外の風が少し涼しくて今の体温にはすごく気持ちよくて倫也さんの隣に並んで風を感じながら食べたぽたぽた焼き。
きっと一生忘れないだろうなぁ...
風が吹く度にチリン...チリン....と鳴る風鈴の音と夜の空と倫也さんが居るこの空間が
まだあの夏からそのまんまそこにある様な気持ちにさせる...
『明日もこんくらいの気温だったらいいなぁ。ただでさえ空気あんま良くないネオン街にほぼ毎日の様に居るんだから気温くらい涼しくあってくれだよなぁ。』
クスッと笑いながらタバコの煙を噴き出す横顔を見て
明るい髪に
あの夏よりも少し痩せている様に見える今の倫也さんの姿は
時は確実に流れているって事をわたしに示していた...
そうだよ
あの夏のまんまなわけ
ないんだよね...
『さっ、戻ってグラスに残ってる分だけ飲んじまうか。』
そう言われて
またこの時が来てしまった...と毎度毎度しつこいですが発症してしまうのです...もう少し一緒に居たい病が...。
「...はい。」
そう口にしながらも全然乗り気じゃない。笑
なんだかいつも以上に離れたくない...
お酒のせいで気持ちは素直になりっぱなしで
思わず口にしそうになってしまうから
それを制御することでもういっぱいいっぱいだ...
先にソファーに戻った倫也さんはこっちを向いてわたしを通り越した視線をベランダへと向けてて
『Aちゃんの新曲の最後のシーンさ....ベランダだったよな。』
って
ボソッと口にした...
150人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RJS(プロフ) - あきらさん» あきらさん☆コメント下さりとっても嬉しいです!わたしも皆様のお気持ち考えたらどうなのかなぁと悩みましたが前向きな意見が頂けて本当に嬉しく思います!せっかく皆様と繋がれた場なので大切にしていきたいです。なのでこれからも是非、宜しくお願いします!! (2023年3月26日 14時) (レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
RJS(プロフ) - ゆんさん» ゆんさん☆いえいえ、むしろこのタイミングでコメント下さった事にとっても感謝してます!わたしは書き続けたいと思ってますがどうすべきなんだろう...と悩んでましたT^T読みたいと思って下さる方も居るんだととっても勇気もらいました☆本当にありがとうございました! (2023年3月26日 14時) (レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
あきら(プロフ) - このお話は素敵なので是非続いて欲しいです!でもどうされるんだろう..の方が強くてコメント出来ませんでしたが、更新ありがとうございます。ひとつの物語として応援しております! (2023年3月26日 13時) (レス) @page42 id: 05facd4420 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - こんなタイミングで初コメント失礼します。このお話が大好きなので、現世はおいといてお話が続くといいなと思ってます。 (2023年3月25日 13時) (レス) id: e23f47c4dc (このIDを非表示/違反報告)
RJS(プロフ) - あおさん» あおさん☆コメントありがとうございます♡素敵と思って頂けて本当に嬉しいですっ!のろま更新で申し訳ありませんがこれからも是非宜しくお願いします!! (2023年2月16日 14時) (レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RJS | 作成日時:2023年2月6日 9時