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早朝。
世が明ける前から始まった撮影。
この日を待っていたかの様に晴れ渡る空がだんだんと薄紫色に染まって、わたしは倫也さんと最後の朝日を見る。
まだ撮影は続くけど
朝日を見られるのはこれで最後。
この距離で隣に並べるのもあと何回だろう...
初めて会った日が随分前のことみたいで
わたしはこの数ヶ月で著しい成長を遂げた
異世界モードに入っても自分を保っていられるようになった
ちゃんと内容も覚えているし、無駄に疲れることがなくなった。
きっとあの日からだ
伊藤ちゃんに突っ込まれたあの日
今ならわかる
わたしがどうしてこんなに世間に演技を認めてもらえて
どうしてこんなに評価してもらえるのか...
『...前奏がいいよね。』
海の方を見ながらぼそっとつぶやいた声が聞こえた
ひとりごと...かと思ったけど気になってちらっと顔を覗くと
『んふふ、【金魚花火】。ずっと頭の中で流れててさ。』
「...そうなんですね、嬉しいです。」
『りっつぁんって天才なんだろうなって思うのはさ、この何ヶ月かの色んな場面が浮かぶんだよね。花火見上げたり、夕暮れに歩いた道とか、朝の匂いとかさ、あと雨の中走ったこととか。ピアノの音もそうだけど、花火の打ち上がる音とかも入ってるでしょ？すげーなって考えられてんなぁって。
あと、やっぱいちばんはりっつぁんの声。
...俺。すきだわ。』
そう言って振り向いた笑顔に胸が痛くて熱くて、なんかわかんないけどすごい泣きそうになった...
喉の奥が詰まって微笑むことで精一杯のわたしに
『あー。聞きてぇなぁ〜。りっつぁんの歌。コンサート行っちゃうよ？このままだと。笑』
って言いながら笑ってる倫也さんはわたしを見てふざけた様にニヤニヤ笑ってて
だけどわたしは嬉しくて
嬉しくて...嬉しくて
だから
倫也さんが笑いながら海の方を向いたのを確認して...
「.....心に泳ぐ金魚は...恋し想いを募らせて...
小さく
倫也さんにだけ聞こえるくらいの声で
ゆっくりと口ずさんだ
わたしが小さく歌っている間
あなたは目を瞑って
只、隣で微笑んでくれていた
そして歌い終わって急に恥ずかしくなって
「アカペラで申し訳ないです...」
と赤くなっていく顔を隠すために腕の中に顔を隠して小さく言った。
『ありがとう。』
優しく降ってきた声
その一声で涙が出るのは
もう引き返せないくらい
あの日からあなたが好きだからです...
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RJS(プロフ) - naaaaさん» naaaaさん☆コメントありがとうございます！楽しみのひとつと言ってもらえるなんて、最高に嬉しいです。ゆっくりですが長くお付き合い頂ければ嬉しいです。やる気もらえました！ありがとうございます☆☆☆ (2022年4月26日 19時) (
レス) @page9 id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
naaaa(プロフ) - すごく面白いです！最近の楽しみの一つになってます。更新頑張ってください！ (2022年4月25日 12時) (レス) id: ab66cc7dba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RJS | 作成日時：2022年4月19日 19時
