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これで何度目だろう...
テーブルには冷めてしまったココアのカップが置き去りになっていて、わたしはまた新しく入れ直したココアを手にもう何度目かの表紙を開いた...
半分程読み進めて
...だめだ
パタンと小説を閉じて天を仰ぐ
鼻からゆっくりと息を吐き出して手探りで隣に置いてあるケータイ電話に手を伸ばした。
プップップップッ.....
『はいはーい。』
「...マナ、今へーき?」
『うん、どした?』
「どうしよ。浮かばない。」
『なにが?』
...あ。そういえばこの話してないんだった。
いつもの癖で...どうしよ...
「あ、うん。あの...新曲のイメージの人...っていうか。」
『あー。MV撮るの?』
「まぁそんなかんじかな。」
『ふぅーん。イメージは?どんなかんじなの?』
イメージ...は【恋花火】なんだけど
それ以外だと...
「.....金魚。」
『金魚?へぇー!華やか系だ!華やかで綺麗な人がいいんじゃない?』
「...ううん、小さい金魚鉢で泳いでる...1匹だけのコ。」
『あ!切ない系?』
「...うん。」
『そっか。でも珍しいよね?いつもしっかりイメージあるタイプだから。ほらいつものあのAにしかわかんない表現のやつ。今回はないの?』
「...あるんだけど...どうしてもしっくりこなくて。」
『ん〜...あ!だったらアニメーションとか、それか顔出しなしの構成にするとか!それなら思った世界観になるんじゃない?』
そうなのよ。
MVならそれでいいのよ。
けどこれドラマなのよ。
「...そうなんだけどね。」
小さく溜息が出た。
『...選ばれるってさ、凄いよね。』
「...え?」
『あ、ごめんね!いや、Aの作る曲はいつもしっかりその曲に世界があるでしょ?映画もドラマもそうだけどそれぞれの世界があって〔この人に演じてもらいたい。〕って作った人とか、これからかたちにしようとしてる人たちが思ってくれるってことだもん。この仕事してる人はみんなそれがいちばんの喜びなわけだし。だからさ、選ばれた人はきっと全力で良いものにしようってすると思うよ?
もちろん、Aの作る世界観だし、合う人が居ないならそれは違う方法があると思う。
難しく考えないで単純に見つめたら案外簡単なことかもよ!』
マナの言葉にわたしの中で絡まっていた気持ちがすっと解けていくのがわかる...
そうだよ
難しいことなんてひとつもない...
「...マナ。...わたし.....わかった気がする。」
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RJS(プロフ) - 游歌さん☆コメントありがとうございます!読み進めていただければわかるのですがアーティストネームとして【rtzu】という名前を使っていて本名が読み手さんのお名前になるように設定してます!なのでもう少し読むとお名前で出てくると思います!宜しくお願いします☆ (2022年9月10日 10時) (レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
游歌 - 続けてのコメントですみません。。。 そしてこの主人公ちゃんは日本人の設定ではないのでしようか? (2022年9月10日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游歌 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 この物語の主人公ちゃんの名前って固定なんでしょうか? (2022年9月10日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RJS | 作成日時:2022年2月25日 18時