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よく眠れたおかげか、思うように曲が作れたおかげか、今日の目覚めは信じられないくらい気持ちが良くて、いつもより早めに駐車場へ降りて行くと伊藤ちゃんがびっくりした顔でこっちを見ていた。
『おはようございます、どうしたんです?!コールなしで降りてきてくれるなんて!』
「たまにはね〜♪」
そう言いながら後部座席に乗り込むと、『じゃあ、ゆっくり出発しますね。』と昨日とは全く違う穏やかでゆったりとしたハンドル捌きで駐車場から出た。
『rtzuさん、昨日送ってくれた音源すごい良かったですね。』
「だよね!?久しぶりにばぁーーーって広がってぱらぱらぱら〜って降りかかって奥の方にスーッて入ったの。」
『あはは。rtzuさんの表現理解できるのrtzuさんだけ。』
「なんだろうねこの気持ち。...恋?みたいな??」
『それもよくわかんないです。』笑
そう言って困ったように笑う伊藤ちゃん。
それでもわたしは上機嫌で、ファッション誌の撮影に向かった。
ヘアメイク中も何やらカチャカチャとパソコンを叩く伊藤ちゃん。
そして、撮影の合間の休憩もバナナ片手にずっとパソコンにかじりついている伊藤ちゃん。
わたしはこんなにふかふかのソファーでオシャレなサンドイッチを頂いているというのに。
声をかけても『大丈夫ですよ!』の一言を笑顔で返されてなんだかわたしの為にいつもこんなに頑張ってくれていることが申し訳なくも感じたりする。
そしてまた呼ばれてはカメラの前でポーズをとって
それを何度か繰り返していると今日の撮影は終了した。
私服に着替えて部屋に戻ると『行きましょう!』と伊藤ちゃんは扉の前で待っていた。
車に乗り込んで、「今日、次どこだっけ?」と聞くと、『お話があるので事務所へ向かいます。』とバックミラー越しにニコッと笑った伊藤ちゃんの顔はなにか言いた気で嬉しそうだった。
そうこうしているうちに事務所に到着して、小さな会議室に入ると、前に座った伊藤ちゃんはスゥーッと深呼吸してから、
『...決まりましたよ。【恋花火】挿入歌。』
そう言った。
「...え?...ほんと?」
『はいっ!昨日音源もらってからずっとそのことで動いてて、絶対に絶対に絶対に使ってほしかったので頑張りました!』
わたしが思い描いていた世界にあの曲が流れると思うと
嬉しさで息が詰まりそうになる...
「...嬉しい...ほんとに、ほんとに。...伊藤ちゃん...ありがと。...きっと、いい作品になるね..。」
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RJS(プロフ) - 游歌さん☆コメントありがとうございます!読み進めていただければわかるのですがアーティストネームとして【rtzu】という名前を使っていて本名が読み手さんのお名前になるように設定してます!なのでもう少し読むとお名前で出てくると思います!宜しくお願いします☆ (2022年9月10日 10時) (レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
游歌 - 続けてのコメントですみません。。。 そしてこの主人公ちゃんは日本人の設定ではないのでしようか? (2022年9月10日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游歌 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 この物語の主人公ちゃんの名前って固定なんでしょうか? (2022年9月10日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RJS | 作成日時:2022年2月25日 18時