四月の夜は。

15. ページ15

〈いいじゃん。〉

『うん、いい♪やっぱAはそのまま歌えばいいんだよ！どんなに緊張しても曲が始まっちゃえば楽しいでしょ？』



そう言われてみれば全く緊張してない...



「...そうだね...。うん。そうかも！」


良かったねと言わんばかりにうんうんと頷いてくれるマナと

小さく溜息をついて、こいつ何しに来たんだよ的な顔で呆れたようにこっちを見てるSHUTA




ご迷惑をおかけします...

いつも気づきをくれてありがとうございます...


心で思いながらも照れ臭くて「ありがと。」って一言だけ言った。








『この調子でドラマもきっと大丈夫♪』

そう言うマナの言葉にマイクを片していたSHUTAが振り返った。


〈ドラマ？〉

『うん、...？あれ？A、しゅーたくんに言ってないの？』

「あー。頭の中コンピのことばっかりで...。」


『Aね、夏に放送されるドラマで主演やるんだよ！』

〈そうなんだ。〉

『そうそう！わたしもね、出るの♪だから絶対見てね！』

〈わかった。〉

「ほらねー、こんな反応だと思ったよ。まじ人に興味ないから。笑」

そう言うと目の合ったSHUTAは表情も変えずにまたせっせとマイクを片し出した。




『でも本当嬉しかったー！わたしの言ったこと言霊になったーって大騒ぎしちゃったもん。』

「わたしは不安でしかないよ。笑」

『みんな同年代だしきっと楽しいよ！あと、あれも凄いと思った！AAで倫也さん倫也さんなの凄いよね、キャスト見てマジびっくりしたけどAの本名知ってる人周りに居ないからなんも言えなかった〜。そーだよね、しゅーたくんに言えばよかったぁ！』


「....んーと、どういうこと？」


『...？キャストの話だけど。』





「...あ。」



マナの顔をチラッと見るとすぐに察したのかちょっと呆れたかんじで目を細めてから



『主演の二人がね、両方役名が本名なんだよ！すごい珍しいでしょ？』


「へぇー！そうなんだ。」


『うん。倫也さんやるの中村の倫也さんだって。良かったねー。倫也さん優しいしめちゃめちゃプロフェッショナルだから安心して任せられるじゃん♪』







....中村の.....倫也さん...




視線を斜め上に上げて思い浮かべて

目線を下げると

こっちを見たまま固まってるSHUTAが居た。






そうなんだ...

中村の倫也さん。







中村の...

16.→←14.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す