12. ページ12
【恋花火】のオファーを正式に受けてからだいぶ日は経って、最初の頃のドギマギや心意気なんかはどこかにふらっと居なくなって、わたしは参加させてもらうカバーアルバムのことで頭が爆破しそうだった。
いつもの車内
上機嫌で運転する伊藤ちゃんに声をかける
「楽しそうだね、伊藤ちゃん。」
『そりゃそうですよ!だってback numberですよ!
わたしが大好きなの知ってますよね??』
「知ってるけども...それによってのわたしのプレッシャーとかも知ってるでしょ?」
『すごい数の人が期待してますよ!わたしも!』
「もーやめてよ...ほんと胃が痛い...」
『しかも【高嶺の花子さん】なんて最高♪あ、そういえばSHUTAさんの参加曲【僕の名前を】だそうですよ!』
「えー、わたしがそっちが良かった。あいつも胃痛になってるかな...後で電話してみようかな...今は共感してくれる仲間が欲しい...。」
こんなにプレッシャーで頭の中パンパンなわたしをよそに車内にガンガンかかり続けるback numberさんの楽曲
『ずっと聴いてたら日常になりますから♪』
なんて言いながら楽しそうに鼻歌混じりに運転している伊藤ちゃんは紛れもなくただのback numberファンだ。
『【高嶺の花子さん】に【恋花火】、rtzuさん今年は夏に縁がありますね♪【恋花火】キャストも決まりましたし、来週には台本も届きますし、本格的に始動しますからrtzuさんも体調と気持ち整えておいて下さいね。』
キャスト...
台本...
あれ?撮影いつからって言ってたっけ?...
やばい。やるって決めて数日だけやる気になってその後からはまた音楽のことばっかになっててすっかりさっぱりほっぽってた...
「...うん、わかった。
.....ところでさ...あの二人って最後どうなるの?」
『...?なんのことですか?』
「...いや、あの...ドラマの二人。」
少し小さめの声で聞くと、返事がないのでバックミラー越しにチラッと覗くと
これでもかってくらいの見開かれた目玉がこちらを瞬きもなくガン見していて
「ひっ!!」
変な声が出て体を仰け反ると
『...まさかとは思いますけど、【恋花火】最後まで読んでないとか言わないですよね?』
ゾッとするような無表情の伊藤ちゃんにゴクッと唾を飲み込んで
「...えっ.....と。あのですね...ちょっと真ん中過ぎあたりで止まってしまっていましてですね...」
と言い訳を必死で考えているわたしを見る伊藤ちゃんの冷めた目線がグサグサ突き刺さった...
160人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RJS(プロフ) - 游歌さん☆コメントありがとうございます!読み進めていただければわかるのですがアーティストネームとして【rtzu】という名前を使っていて本名が読み手さんのお名前になるように設定してます!なのでもう少し読むとお名前で出てくると思います!宜しくお願いします☆ (2022年9月10日 10時) (レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
游歌 - 続けてのコメントですみません。。。 そしてこの主人公ちゃんは日本人の設定ではないのでしようか? (2022年9月10日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游歌 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 この物語の主人公ちゃんの名前って固定なんでしょうか? (2022年9月10日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RJS | 作成日時:2022年2月25日 18時