フォビアコンプレックス3 (ページ13)

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第百一話　エルンストページ13

前略、母上様(いねーけど)

「……あ？」

俺ことエルンストは、本日胴体真っ二つにちぎれました。以上。

とまぁこれだけ書かれても分からんだろーから状況説明。
秘密結社の連中に連れられて、破壊工作に勤しんでいたら空の破片が落ちてきた。
それ以外説明のしようないんだぜ、これ。

「……死ぬってこういう感じかー……」

足のほうに見えるのはでっかいパネル。空ってこんなもんでできてたんだな。そりゃ落ちもする。
内臓とか血とかドバドバ出てるっぽいけども、今一つ痛くないどころか、脳内でこーんなこと言ってる余裕まである。

「あっけないな、人生って……」

「おいこらバカガキ！終わりみたいな雰囲気出してんじゃねェよ！ほら、断面こっちみせろ！」

ハインリヒの声だ。なんか蛇が血みどろの下半身引っ張ってこっち来てる。すっげぇキモい。

「るっさいなぁ……もう諦めようぜ。腕ぐらいなら勝手に戻ってきたけど、今日のは特殊能力持ちでも無理だった的なアレだろ」

「だーっ！人間負けちまったら負けなんだよ！諦めんな！」

何を言っているんだこいつは？
……ともかくだ。

「……なぁ、今お前の体引きちぎったら、蛇のお前だけ生き延びられたりとか……」

「あ゛ァ！？何言ってんだオマエは！オマエがいなくてオレだけ生き延びたって意味ないだろうが！そんならここで死んだほうがマシだ！」

そうか。
そうだよな。ハインリヒはいつだってそうだ。

自分よりでっかい付属品の俺のことが一番で、そっから次はなんもない。

「お前との人生、案外悪くなかったぜ」

「……そうか」

ハインリヒはそれっきり、動かなくなった。
俺もそろそろ、かな。