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ジェベリアは目が覚めるともこもこになっていた。柔らかな綿のようなものが全身に生えている。
ジェベリアの全身に滴る粘液は一定の温度を下回ると綿のような形状の結晶に変化する性質がある。厳密には冬毛ではないのだが、ジェベリアはこれを冬毛と呼んでいた。冬になると生えてくるあったかいもこもこ、という意味では確かに正しいかもしれなかったが。
ジェベリアはくるると唸って、全身の綿毛を撫でる。あたたかいのは良いのだが、この綿毛は静電気を起こしやすかったのである。
「ダーリン、見て?もうこんなになっちゃったわ」
隣で眠っているジョンを揺り起こし、ジェベリアは自身の冬毛を見せる。まだ眠たげなジョンは曖昧な返事をして、目を開ける。
「ほら、ふわふわしているわ。まるでテディベアでしょ?」
「んん……そうだねぇ……」
ジョンはどうも寝ぼけているのだろうか、ジェベリアの首元を抱き締める。柔らかな綿毛に顔をうずめ、頬擦りをした。ジェベリアは想定外の反応に驚いたが、抱き締められる事は嫌いではないらしい。くぅくぅと鳴き、ジョンを抱き締め返した。ふわりとジョンの匂いがする。
そのまま数分ほどしていると、ジョンは再び眠りについたようだった。安らかな寝顔でジェベリアを抱き締めながら、すやすやと。
ジェベリアはジョンの寝顔を愛おしげに眺める。もう少し楽しみたかったが、彼はまだ眠そうだ。起きたらたくさん可愛がってもらおう。
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