化け物二組がただいちゃつくだけの短編集 (ページ3)

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零はハロウィンの仮装にと友人から貰った服を眺めていた。実際に着るかはさておき。

「……うーむ」

　零は唸り声をあげながらその服を眺めている。女王に相応しい服といって手渡されていたのは、なんとボンテージだった。確かにある意味女王に相応しい服ではある。しかしこれは何か違うなと零は直感していた。

　試着すれば何か印象も変わるだろうか。案外似合う……かも？まあとりあえず着るだけ着てみようかと零は思い立ち、ならばと躊躇う事なくその服を着用しようとする。

　だが……

「ややこしいな……」

　複雑な形状をしているボンテージを一人で着るのはなかなか難しいらしい。大きな羽が邪魔をして、着用できないようだ。妖精達を使おうか……いや、使えないだろう。彼女らはあまり賢くないのだ。零はその事をよく知っていた。

　萬に頼むしかないだろう。もしかしたら、このよく分からない装束の着用の仕方を知っているかもしれない。

「げほっ」

　お茶を飲んでいる萬にボンテージを見せたら吹き出した。

「どうした？」

「それぇ……誰に貰ったんですかぁ？」

「脳缶」

「あぁ……」

　複雑そうな表情をしている萬。零は少し不安になった。もしかして、萬はこの装束が苦手なのだろうか？だとしたら申し訳ない事をしてしまった。

「萬、これは苦手だったか？ならばすまない」

「あ、いえぇ。そういう事ではなくってぇ……」

　萬はしばらく悩むような素振りを見せ、少しここで待っててくださいねぇと部屋を出ていった。零は萬が何をしに行くか分からなかったが、置いてけぼりにされて不安に陥りそうだ。