化け物二組がただいちゃつくだけの短編集 (ページ19)

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子猫達は仰向けになったジェベリアの大きな腹の上に乗り、楽しそうにみゅうと鳴いた。腹からころころと転げ落ちては登り、また落ちていく。ジェベリアは尾を軽く振って子猫達の注意を引くと、子猫達はすぐさまそちらへ向かう。

　冬眠から目が覚めて数日。子供ができたために休暇を取ったジェベリアは家で子猫達の相手をしていた。ベビーシッターを雇うのも考えたが、ジェベリアがそれを拒んだのだ。他人に自分の子供達が触られるのが好きではなかった。もし子供達に何かがあったらと思うと仕事に手が付きそうになかったのである。

「怪我しないようにねぇ、おチビ達」

「んなぁ？」

「みゃうお」

　本来の獣の姿となった彼女の巨体は小さな子猫達にとって良い遊び場になるようだ。ジェベリアの声に返事をするように鳴いて、また登り始めた。

　この子達って言葉はもう分かるのかしら。ふわぁとあくびをして、ジェベリアは再び尾を振る。子猫達はゆらゆらと揺れる尾に飛び乗り、楽しげにしていた。ジェベリアはしばらくそれを眺めていたが、子猫達が尾に乗ったまま眠ってしまったのを確認すると、ゆっくりと二匹を抱えあげて柔らかなベッドへと運ぶ。

「元気に大きくなってね」

　長く滑った舌で毛並みを整えてやってから、ジェベリアはそう囁いた。子猫達はうにぃ、と寝ぼけた返事をした。いや、それは返事ではないかもしれない。それは、ただの寝言だったのかもしれない。

　ジェベリアにとってはどちらでも良かった。毛布をかけて、そのすぐ傍に音を立てないようにして横たわる。そして目を閉じた。ジェベリアも眠かったのだ。