化け物二組がただいちゃつくだけの短編集 (ページ12)

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ジェベリアは目が覚めた。空腹感がある。顔のすぐ傍には血と肉が詰まった大きめの桶があった。ジョンが用意してくれていたのだろう、まだ新鮮なそれらをゆっくりと飲む。動きが緩慢なのは寝起きだからだろうか。

「天使ちゃん、起きてたの？」

　部屋の扉が開いて、ジョン君がこちらに顔を覗かせた。両手には何か持っている。しかしよく見えない。

　もっとも、ジェベリアはあまりに眠くてそれに気を遣うどころではなかったが。

「お腹はいっぱいになった？」

「んー……」

「じゃあちょっとごめんね」

　ジョンがジェベリアの胸元に、両手に抱えた二つの何かをあてがう。みぃとかみゃあとか聞こえて、二つの何かはジェベリアの乳首に吸い付いた。ジェベリアはまだ眠りについてはいないのだが、特に何の反応も返さない。

　数分間そうしていると、ジョンは手に持っていた二つをジェベリアから離した。二つのそれらはみゅうみゅうと鳴いて懇願したがジョンはよしよしと宥めるだけだ。

「ありがとう……ああ、もう寝たのかい」

　ジョンの声にももう返事はない。ジェベリアは完全な眠りについたらしかった。すうすうと僅かな寝息が聞こえるが、それがなければ死んでいると思ってもおかしくないくらいに微動だにしなかった。

「おやすみ、天使ちゃん」

　ずれ落ちた毛布をかけて、動かないジェベリアの頭を撫でる。しばらく撫でてから、ジョンはその部屋を後にした。