人間フィロソフィー (ページ6)

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第5話　エラページ6

「……あ！」

　歩いていると、やっと見つけた。小さな女の子。息を潜めて、近寄る。あたしに気づいたのか、彼女はゆっくりと、こちらを振り向いた。

「エラ、さん？」

　青くて大きな双眸が、あたしを捉えた。それと同時に、彼女の長い白髪が、さらりと揺れる。まるで、可愛らしい生き物みたいに。つまりは、子猫の尻尾みたいに。

　彼女は、こちらを見上げている。あたしはルナを安心させたかったから、彼女の視線に合わせてしゃがむ。少し緊張が緩んだのか、安心したみたいに、ルナは微笑んだ。

　大きいものが怖いというその気持ちは、よく分かるから。上から見下ろしてきたあいつは、まるで化け物みたいだったから。あいつは、あのままあたしを食べてしまおうとしていたから。だから、ルナの気持ちも、理解できた。

「これ、ドライフルーツと、それから、押し花の栞。あたしってば、少し作りすぎちゃって。良かったら、受け取ってほしいの」

　作りすぎたっていうのは、もちろん嘘よ。彼女と友達になりたくて作ったの。けど、それを言うのは、恥ずかしくって。だから、嘘をついちゃったの。

　彼女は目を細めて、何だか嬉しそう。あたしも嬉しくて、笑った。いろんなものを入れてきたバスケットから、ドライフルーツをいくつか取り出して、彼女にあげる。

「良いの？」

　頷く。もちろんよ、あなたに作ったんだもの。彼女は嬉しそうに受け取って、一口。あたしも取り出して、彼女と一緒に食べる事にした。