2 ページ2
和哉は情報部署に所属する中級職員である。職員の中でもこの騒動についての情報はかなり持っていたが、それでも教えられていない事もあった。
「なんで……どうしていろはちゃんが行かなきゃいけなかったんだよ?!」
故に多くの職員に質問をされてきた。和哉はうんざりとしたような顔で答える。
「制圧部署チーフ、それは私にも分かりかねます。なぜ各部署のチーフが強制的な死亡を命じられたのか……私も混乱しているものでして」
声を荒げる男、制圧部署チーフH391、柴田翔太は唸った。そういえばこいつは先保険部署チーフM263、磨仲寺いろはに片想いをしていたらしいな、などと和哉はぼんやり思い出した。
「私より新たな情報チーフの方が情報を持っているかと。尋ねるのであればそちらの方がよろしいでしょう。まあ、教えてもらえるかは分かりかねますがね」
各部署の先チーフ……先制圧部署チーフR810、マーガライト・ココ・ベルツ、先情報部署チーフQ651、イグ=ラハラ、先保険部署チーフM263、磨仲寺いろははある日突然本部から自己終了を命じられた。他の職員達は混乱し戸惑ったが、これは既に決定事項であったため、職員達がどう声をあげても本部は聞き入れなかった。
当のチーフ達は前々から伝えられていたのだろうか、動揺する事もなく、そしていなくなった。その死体は誰の目に触れられる事もなく本部に回収されたようで、葬儀すらあげられる事はなかった。
これに対して職員達が反発するのも無理はない話だった。特に、翔太はいろはに想いを寄せていた。想い人の突然の死に悲しむのもおかしい話ではない。
和哉は慇懃に、しかし馬鹿にしたような口調で返答し、そそくさとその場を後にした。彼には他にもいくつか仕事があったのだから。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ