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あたしは海が好き。
波に揺られていると、まるで自分が海の一部になったような気がした。自分とそれ以外との境界線が曖昧になって、この世界そのものになるような。
でも、ここに海はない。あるとしても血の海だ。
本棚から本を取り出す。頭が異常に肥大化した水死体のような司書がこちらを見る。本を盗んだりしないか、警戒しているんだろう。
夜の海のような藍色の瞳が……十個は優に越すであろう大量の瞳が、あたしを見つめる。
目を合わせないようにしながら、本を開いて読み始める。司書はしばらくしたらいなくなった。
本はあたしの知らない文字で書かれていたけれど、不思議と内容は理解できる。知識を提供してくれるこの塔だから、なのだろうか。魔法なんて非現実的だろうけど、そうとしか思えない。
「レムヌ歴八百五十二年、リンヒーリで革命が発生、ハレヌ戦争に……」
授業でも聞いた事もない単語が踊る。それはきっと、単にあたしが無知だから、というわけではもちろんあるまい。異世界の歴史なのだろうから。
文字だって、この世界のいかなるものとも合致しなかったらしいし。
一通り目を通して、本棚に戻す。ここの本棚には、目当ての本はなかった。次の棚に移動し、新しい本を手に取る。
「不平等条約……ノルマントン号事件？うわぁ、イギリスって国最低ね」
なかなか興味深いけど、これも違う。目当ての本じゃない。戻して、別の棚に移動する。
「手を貸す必要はあるか？」
「うわっ」
いきなり声をかけられて、びっくりする。見ると、すぐ近くにあの司書が立っていた。
「本を探しているようだが」
どうやら、見られていたらしい。いなくなったと思ってたのに。あたしは少し考えて、やっぱり首を横に振る。
司書は不思議そうにしている。藍色の瞳が、ぎょろぎょろ蠢く。
「大丈夫よ。自分で探せるわ」
「そうか」
司書はそれだけ言って、本棚と本棚の隙間……人間なら明らかに通れないであろう狭さの隙間から、ぬるりと出ていった。
あたしは顔を落として、再び本を探す作業に戻る。
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私(誰や)(プロフ) - 海空とファルシュも使ってあげてください！ (2020年11月22日 22時) (
レス) id: 8da926b67e (このIDを非表示/違反報告)
lasagna(プロフ) - よろしければ…うちのパルサーくんも…ぜひ…… (2020年11月22日 22時) (レス) id: e270f04d93 (このIDを非表示/違反報告)
うるさいキメラ(プロフ) - もしよろしければ我が家の英誠も出してOKです！ (2020年11月9日 10時) (レス) id: bcd44cf1b6 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこさん(プロフ) - うちのヴィオレッタも宜しければ…！ (2020年11月8日 22時) (レス) id: 8ed570e0bb (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴぽぷぺ(プロフ) - 使えなかったら使わなくても大丈夫なんですけど、うちの子丁度八階なので宜しければ是非使ってやって下さい…！ (2020年11月8日 16時) (レス) id: e1eef10c3b (このIDを非表示/違反報告)
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