お菓子 ページ35
「〜♪」
上機嫌に、売店へ向かう。この前知り合った上級職員の吸血鬼さんに、売店でフェアが開催されていると聞いたのだ。何のフェアだったかは覚えてないけど。
すれ違う職員さん達の中には、売店のビニール袋を手に下げている人もいる。それも、結構な頻度でだ。よほど人気の商品でもあるのだろうか。
彼らからは何となく甘い匂いがしたから、スイーツかな。それとも香水?
このフェアではいろんな限定品が売られているらしいけど、甘い何かが人気なのであろう事は簡単に分かった。甘いもの、できるならお菓子が良いな。香水なんて、使う機会ないんだから。
売店に入ると、目に入ったのは可愛らしいデザインの小瓶だった。透き通るような薄い青色をしていて、ほんのりと甘い香りがした。
なぁんだ、香水かぁ。
少しがっかりしたけど、すぐにそんな気持ちは吹き飛ぶ。フェアではいろんなものが売られているのだけど、他の棚を見ると、美味しそうなお菓子が陳列されていたのだ。どれもこれも可愛い色をしていて、いかにも甘そう。
パステルカラーのマカロン詰め合わせ、淡い着色のなされたアイスクリームやチョコレート。
少し悩んで、全部買い込む事にした。お金がちょっと貯まってたのだ。ついでに、香水も買う。悪くない匂いだし、デザインだってお洒落であたし好み。
『A-763-Gが暴走しました。付近の職員は速やかにA-763-Gを制圧してください。繰り返します。A-763-Gが暴走しました。付近の職員は速やかにA-763-Gを制圧してください』
アラームが鳴る。うるさいなぁ。また脱走かよ。そんな声が聞こえる。職員さんはやれやれと言わんばかり。
そんな彼らに同情しながら、あたしは部屋に戻る。帰って、カチュアとお菓子のシェアをしなきゃ!
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