目覚め ページ34
「……うーん」
なんだか悪夢を見ていたような気がする。
ずきずきと痛む頭を軽く押さえながら、ベッドからおりる。パンが焼けるような、ほんのりと良い香りがした。カチュアが朝ご飯を作ってくれているのだろう。
大きくあくびをしながら、服を着替える。
「おはようカチュア、朝ご飯ありがとう」
「おはよう華璃ちゃん。ジャムと蜂蜜、どっちかけたい？」
「蜂蜜で。カチュア、今日は何をしよっか？あたしゲームしたいんだけど、予定なかったらカチュアも一緒にやらない？」
「やろう！今日は暇だしね。というか、今日に限らずたいてい暇なんだけど」
ごちそうさま。
先に食べ終えたカチュアが食器をシンクに置いていく。朝ご飯を作らなかった方が皿洗いをするのが、あたし達のルール。
さっさと洗って、ゲームしたい。トーストを口に詰め込んで、急いで皿を洗う。かちゃかちゃと、皿の触れあう音がする。
「華璃ちゃーん、ゲーム何をしたい？メインクラフトとか、モンスターハントレスとかあるけど」
「メイクラで！」
「はーい。じゃあ今日も建築するの？」
「今日は普通にサバイバルでやりたいかな。まだとってない実績あるっぽいの」
お皿を洗い終えたら、濡れた手を拭いてコントローラーを握る。
画面の中のキャラクターを操作して、まずは家畜の管理。牛の乳搾りをして、兎は三匹、豚は五匹ほど屠殺。鶏は卵を回収して二匹屠殺。羊からは毛をとった。
畑ではカチュアが作物の管理をしていた。あたしも一緒に手伝う。小麦、人参、芋、スイカ、カボチャ、ビートルート、キノコ、砂糖を収穫。これだけでもそれなりにきついんだけど、収穫するだけじゃなくて、ちゃんと種蒔きもしなきゃいけない。
それらが済んだら、遠出して仕事だ。新天地へ向かうための新しい拠点を作らなきゃ。必要な食料や建築材料を持てるだけ持って馬に乗る。家畜はその辺にいるのを捕まえれば良いだろう。
「廃鉱山のあたりに拠点作りたいんだけどどうかな？マグマも水もあるし、鉱石もあるし」
「良いね。けどあの辺石だらけだし高度高いし、農業は難しいかもね」
「動物食べれば大丈夫でしょ」
なんて話しながら廃鉱山の方角へ馬を走らせる。
「そういえばカチュア。あたし悪い夢見たんだよねー」
「どんな夢？」
「覚えてないのー」
「ふぅん」
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