散歩 ページ13
かちゃかちゃ。ゲーム機のコントローラーが音をたてる。
気晴らしにゲームをしているの。でも、前もやったからつまらないわ。だって、展開はもう分かりきっているんだもの。
ストーリーが売りだっていうゲームなのだけど、逆に言うならストーリーくらいしか見所がなくて、そしてそれすらもないっていうんだから、もうどうしようもない。
良く言えば重厚な、悪く言えばもっさりとした戦闘システム。操作性はいまいちだし、バランスだって悪いし。レベル上げだってひどく苦痛だ。
キャラクターが魅力的でさえなければすぐにやめてしまいたい。
セーブをして、すぐに電源を切る。次は何のゲームをしようか。パズルとかなら、飽きも来ないし、良いかも。それか、トランプとか?神経衰弱とか、ババ抜きとか。ああでも、友達がいないから、できないか。
友達……スージーやJackさん、アインさんの事を思い出した。彼らはかつてあたし達の良き友達だったんだっけ。彼らは覚えていないけど。
散歩でもしようか。多少は気晴らしになるだろう。少なくとも、展開の分かりきったゲームをするよりは。
「カチュア、散歩行くけど、どう?」
ベッドに横たわるカチュアに呼び掛ける。答えは分かりきっていたけど、何も言わず出るわけにもいかないでしょ?
案の定というか、カチュアは何も言わなかった。この無言は否定だ。
通信機で野々華さんに連絡すると、あっさり許可がおりた。自動扉がフォンと、軽い音をたてて開く。
「行ってきます」
返事は、ない。
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