目覚め ページ48
「……ああ?」
疑問符と溜息が交ざったような声を出して、起き上がる。見えるのはいつもと変わらない、無機質な天井。最近買い換える予定の、よれたシーツ。
また夢の中だったのか。いや、それはどうでも良いんだ。
しばらく呆然していると、あたしはどうにか落ち着いた。わけが分からないままに、夢の中で殺されたようだ。
疲れるなぁ。
起きたばかりなのに、もう寝たくなってしまった。けど、そうするわけにもいかない。嫌なのに。
渋々ベッドから降りて、大きく背伸びする。隣のベッドでは、カチュアがまだ眠っていた。うんうんと唸っている。その様子があまりにも可哀想で、あたしはカチュアを揺り起こす。
「カチュア、カチュア、起きて」
「……華璃、ちゃん?」
カチュアは顔をしかめたまま、起き上がる。
「何があったの?」
呼びかけると、彼女は首を横に振る。
「分からない」
「そっか……」
あたしはカチュアをゆっくりと起こして、パイプ椅子に座らせる。椅子に座ったカチュアは、ぼんやりとしている。いや、あれは呆然としてるのか。さっきのあたしみたいに。
インスタントのコーンポタージュを二人分作って、カチュアに渡す。小さな声でありがとう、とカチュアは言ったけど、手に付ける様子はない。あたしはそれを横目にしながら、部屋に備え付けられている通信機で野々華さんに連絡する。
「おはようございます、野々華さん。また夢を見ました。平和だったけど、あたし達は誰かに突然襲われて殺されました」
内容を報告する。いつも通りにね。
「そちらに向かいます、待っていてくださいね」
野々華さんはそう言った。いつもならありがとうと伝えていたはずだけど、あたしは何も言わなかった。言う気力もなかった。
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